足利・宇都宮

あしかが・うつのみや

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足利・宇都宮ガイド

大宮を出て東北に向かい、左に高崎線を見、中山道を横ぎり、右に氷川神社の森を眺め松、桐の林、茶、桑、芋の畑や稲田の間を過ぎ、綾瀬川を渡り蓮田に着きます。武州鉄道はここから東南に分れて武州大門に至ります。さらに元荒川を渡り北に転じ白岡を経て右から来る東武鉄道を併せ久喜に至ります。

久喜から北進し築堤によって線路を横ぎる東武鉄道を見、古利根川を渡ります。これから左の展望広く秩父諸山から浅間、赤城の山々が眺められます。やがて栗橋を過ぎ、東北に折れて利根川の鉄橋(延長436m)にかかります。橋上から左窓に渡良瀬川の落口が見えます。橋を渡れば茨城県下総国に入り松並木の美しい陸羽街道を横ぎり、北に転じ古河に着きます。

古河から東北に折れて栃木県下野国に入り、松林、桑畑の間に間間田を過ぎ、右から来る水戸線を併せ小山に着きます。ここは水戸線および両毛線の分岐点です。このあたりから大谷石で築いた倉庫が目立ちます。

小山を出て右に東北本線を見送りつつ西北に向かって稲田、桑畑などのなかを進み、鮎漁の行われる思川を渡って思川を過ぎ、東武鉄道日光線の下を潜って栃木に着きます。

栃木を出て西南に向かい桑畑稲田の間を進み太平山の麓に近づき太平下を過ぎます。ここは太平山神社への捷路にあたります。さらに風景をもって知られる岩舟山の麓に石材の搬出が多い岩舟を過ぎ西に転じ、丘陵の間を経て、平野に出て東武鉄道を横ぎり佐野に着きます。

佐野を出て稲田の中を西に進み旗川を渡って富田を過ぎ山裾を通つて足利に着きます。

足利を出づれば南に渡良瀬川堤の桜が続いて見え、市街を離れると右窓に近く足利公園が望まれる。線路は西北に向かい渡良瀬川に沿ひ山前、小俣を過ぎ、桐生川を渡り群馬県上野国に入り、桐生の市街を横ぎり桐生に着きます。

小山からなおも東北に向かい陸羽街道に沿って進めば、両毛線は左に分れ、右はるかに筑波山の双峰を仰ぎ、左前方に円錐形をなす男体山その他の日光諸火山を望み、小金井を過ぎようやく北に転じ、石橋、雀宮を経て左から来る日光線を併せた宇都宮に着きます。この間夏季には沿線の畑に大きなフクベが珍らしく眺められます。これはかんぴょうの原料です。

※底本:『日本案内記 関東篇(初版)』昭和5年(1930年)発行

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