大願寺
大願寺
昭和初期のガイド文
宝物館の北の海浜にあります。鎌倉時代の建仁年間(1201~1204年)僧了海を中興の祖とし、厳島神社の修理造営を管掌しました。本堂内に次の諸仏が安置されています。
- 釈迦如来坐像[国宝] 木造、著色、高さ約106cm、説法の印を結んだ鎌倉時代の像です。
- 阿難迦葉両尊者立像[国宝] 木造著色、いずれも高さ約114cm、迦葉は両手を胸前に固定し、一歩踏み出して立っています。痩せた老僧の姿を現し写実味に富んだ作です。阿難の像は合掌して立つ太った姿を現し、ともに鎌倉時代の作です。
- 薬師如来坐像[国宝] 木造、漆箔、高さ約61cmあり、衣紋の刻みは浅く流麗ですが、鎌倉末期の作と思われます。
このほかこの寺の僧尊海が室町時代の天文年間(1532~1555年)大蔵経を得るため朝鮮に渡航した時の日記を、瀟湘八景を描いた朝鮮屏風の裏に記した八曲屏(国宝)がありますが、現在東京帝室博物館に出陳されています。
※底本:『日本案内記 中国・四国篇(初版)』昭和9年(1934年)発行
令和に見に行くなら
- 名称
- 大願寺
- かな
- だいがんじ
- 種別
- 見所・観光
- 状態
- 現存し見学できる
- 住所
- 広島県廿日市市宮島町3
- 参照
- 参考サイト(外部リンク)
日本案内記原文
寶物館の北方海濱にある。建仁年閒僧了海を中興の祖となし、嚴島神社の修理造營の事を管掌した。本堂內に左の諸佛が安置されて居る。
- 釋迦如來坐像[國寶] 木造、著色、高さ約二尺八寸、說法の印を結べる鐮倉時代の像である。
- 阿難迦葉兩尊者立像[國寶] 木造著色、何れも高さ約三尺、迦葉は兩手を胸前に縛し、一步踏み出して立つて居る。瘦せた老僧の姿を現はした寫實味に富める作である。阿難の像は合掌して立てる肥つた姿を現はし、共に鐮倉時代の作である。
- 藥師如來坐像[國寶] 木造、漆箔、高さ約一尺六寸あり、衣紋の刻み淺く流麗であるが、鐮倉末期の作と思はれる。
この外當寺の僧尊海が天文年閒大藏經を得るため朝鮮に航した時の日記を、瀟湘八景を描いた朝鮮屏風の裏に認めた八曲屏(國寶)があるが、今東京帝室博物館に出陳されてゐる。