南方古墳群

南方村天下古墳
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

延岡駅の西約6km、南方村天下筒井の丘上にあります。前方部は極めて細長くかつ水平で、平面があたかも柄鏡のような形式をしたいわゆる柄鏡型古墳で、全長約70m、西面し、封土三段となり、河石をもって葺いています。大正2年(1913年)、後円部の頂上から約3mの深さに砂利をもって覆われた粘土槨があり、内部に小砂利を敷き朱に塗られたうちに頭部のあたりから碧玉の管玉22、勾玉3、竹製櫛14枚を出土し、直刀2口、劔2口がありました。この竹櫛は考古学上の貴重な遺物で現在、児湯郡妻町の郷土館に出陳されています。この古墳と相対して天下上ノ原吉野神社の西にも同型の古墳があり、全長約65mで、葺石に覆われ、墳上に大日堂が建っています。この他、円形墳約7基が残り、石棺を蔵するものもあり、玉類、直刀、鏃等を出土したものもあります。南方村には天下のほかに吉野、下舞野、大貫、野田、野地等にわたって約30基の古墳を数え、この地方における中心地をなし、大貫の浄土寺と呼ぶ地にある円墳は横穴式石室があり、野田には刳抜石棺があります。なお、大貫浄土寺には石器時代の貝塚も存在します。

※底本:『日本案内記 九州篇(六版)』昭和13年(1938年)発行

令和に見に行くなら

名称
南方古墳群
かな
みなみかたこふんぐん
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
宮崎県延岡市天下町
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

延岡驛の西約六粁、南方村天下筒井の丘上にある。前方部極めて細長く且水平で、平面恰も柄鏡の如き形式を呈した所謂柄鏡型古墳で、全長約七〇米、西面し、封土三段をなし、河石を以て葺いて居る。大正二年、後圓部の頂上から約三米の深さに砂利を以て覆はれた粘土槨あり、內部に小砂利を敷き朱に塗れたうちに頭部の邊から碧玉の管玉二十二、勾玉三、竹製櫛十四枚を出土し、直刀二口、劔二口が存した。この竹櫛は考古學上の貴重な遺物で今、兒湯郡妻町の鄕土館に出陳せられて居る。この古墳と相對して天下上ノ原吉野神社の西にも同型の古墳あり、全長約六五米で、葺石に覆はれ、墳上に大日堂が建つて居る。この他、圓形墳約七基が存し、石棺を藏するものもあり、玉類、直刀、鏃等を出土したものもある。南方村には天下の外に吉野、下舞野、大貫、野田、野地等に亙りて約三十基の古墳を算へ、この地方に於ける一中心地をなし、大貫の淨土寺と呼ぶ地にある圓墳は橫穴式石室があり、野田には刳拔石棺が存して居る。尙、大貫淨土寺には石器時代の貝塚も存在する。

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