雷電海岸

雷電海岸
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

岩内駅の西約8km、雷電番屋まで自動車の便があり、そこから刀掛の手前まで約8km沿岸を歩いてもよく、また磯舟を雇って海上から眺望を楽しむのもいいです。雷電峠は往時は磯谷方面から岩内を経て奥地に通じる唯一の国道で、東海岸における静狩弁辺山道とともに、有名な峠でしたが、今はほとんど通行する人がいません。海岸は雷電、ビンノ、刀掛等の岬が突出し、断崖絶壁が削立して素晴らしい景観が広がるところで、大小数条の瀑布が天空から白糸を垂れるかのように落ち、岩上に立てばその静けさは恐ろしく感じるほどです。また奇巌怪石の間に洞窟が穿たれ、景越雄大、夏の探勝に絶好の地です。雷電は源義経がかつてこの地の女性と袂を分かった時、来年会おうと約束したことがあり、来年を後に雷電と訛ったものと伝えられています。刀掛岩(刀架岩)はその時義経が刀をかけて休んだところとされ、漁船の目標となっています。

※底本:『日本案内記 北海道篇(五版)』昭和11年(1936年)発行

令和に見に行くなら

名称
雷電海岸
かな
らいでんかいがん
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
北海道岩内郡岩内町
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

岩內驛の西約八粁、雷電番屋まで自動車の便があり、それより刀掛の手前まで約八粁沿岸を徒步するもよく、また磯舟を傭うて海上から眺望を恣にするもよい。雷電峠は往時磯谷方面から岩內を經て奧地に通ずる唯一の國道で、東海岸に於ける靜狩辨邊山道と共に、有名な嶮難であつたが、今は殆ど通行する人がない。海岸は雷電、ビンノ、刀掛等岬角突出し、斷崖絕壁削立して神工鬼斧を逞うするところ、大小數條の瀑布は天空から白絲を垂れたるが如く、岩上に立てば碧潭靜寂心膽を寒からしめる。また奇巖怪石の閒に洞窟が穿たれ、景越雄大、夏の探勝に絕好の地である雷電は源義經が嘗て蝦夷女と袂を分つ時、來年會はうと約した事があり、來年を後に雷電と訛つたものと傳へられる。刀掛岩(刀架岩)はその時義經が刀をかけて休んだところと云はれ、漁船の目標となつて居る。

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