清巌寺鉄塔婆
淸嚴寺鐵塔婆[國寶]
昭和初期のガイド文
宇都宮駅の西北約800m、市内清水町清厳寺にあり、もと東勝寺に建てられ、後ここへ移されました。鉄製の鋳物で高さ3mあまり、幅約30cm、表面上部には2個の梵字、中部には阿弥陀三尊来迎の図、その下部には菩提心論に見られる四句の偈、さらにその下には願文が鋳出されています。この鉄塔婆は鎌倉時代の末すなわち正和元年(1312年)に孝子某が母の十三回忌にあたり、その菩提のために鋳造したもので、その大きさで他に比類なく、当時の鋳金術を示すもので、またその願文は浄土思想の一端を知ることができる貴重な遺文です。
※底本:『日本案内記 関東篇(初版)』昭和5年(1930年)発行
令和に見に行くなら
- 名称
- 清巌寺鉄塔婆
- かな
- せいがんじてつとうば
- 種別
- 見所・観光
- 状態
- 現存し見学できる
- 住所
- 栃木県宇都宮市大通り5-3-14
- 参照
- 参考サイト(外部リンク)
日本案内記原文
驛の西北約八〇〇米、市內淸水町淸嚴寺にあり、もと東勝寺に建てられ、後こゝへ移された。鐵製の鑄物で高さ三米餘、幅約三〇糎、表面上部には二個の梵字、中部には阿彌陀三尊來迎の圖、その下部には菩提心論に見えたる四句の偈、更にその下には願文が鑄出されて居る。この鐵塔婆は鐮倉時代の末卽ち正和元年に孝子某が母の十三回忌に當り、その菩提のために鑄造したもので、その大なること他に比類なく、當時の鑄金術を徵すべく、またその願文は淨土思想の一端を知るべき貴重な遺文である。