向上寺

向上寺[曹洞宗]

昭和初期のガイド文

潮音山の中腹にあり、足利氏の祈願所で、愚中周及和尚がこの地が中国径山寺に似ているとして諸堂を造営し、かの地の景致を移したといいます。境内に三重塔があり、三間三層塔婆で屋根本瓦葺、京都の八坂塔と同時代、室町時代の永享10年(1438年)の造営です。四面桟唐戸と火灯窓とを設け、内部は鏡天井で、柱、承塵、天井習極彩色にて牡丹、唐草、雲、鳳凰等の模様を描いていますが、いずれも室町時代の特徴を発揮し国宝に指定されています。寺に一笑の向上寺塔婆記を蔵しています。

※底本:『日本案内記 中国・四国篇(初版)』昭和9年(1934年)発行

令和に見に行くなら

名称
向上寺
かな
こうじょうじ
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
広島県尾道市瀬戸田町瀬戸田57
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

潮音山の中腹にあり、足利氏の祈願所で、愚中周及和尙この地が支那徑山寺に似たりとて諸堂を造營し、かの地の景致を移したと云ふ。境內に三重塔婆あり、三閒三層塔婆で屋根本瓦葺、京都の八坂塔と同時代永享十年の造營である。四面棧唐戶と火燈窓とを設け、內部は鏡天井で、柱、承塵、天井習極彩色にて牡丹、唐草、雲、鳳凰等の模樣を畫いて居るが、何れも室町時代の特徵を發揮し國寶に指定されて居る。寺に一笑の向上寺塔婆記を藏して居る。

尾道のみどころ