開聞岳

開聞嶽
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

指宿駅下車、西の登山口入野まで約15km、自動車の便がありますが、途中大山から東の登山口川尻まで約5kmは徒歩で向かってもよく、山頂までいずれも約3kmです。

開聞岳は海門山ともいい、薩摩富士の名もあります。薩摩半島の南端にそびえ、海抜924mに達するコニーデ式の火山で、美しい円錐形をし、裾野は直に太平洋に洗われ、景観の秀絶なことでは何々富士と呼ばれる多くの山の首位に推されるものです。樹木は広葉樹が多く、針葉樹は山麓に見られるのみです。

開聞岳の噴火は、平安時代の貞観16年(874年)7月2日地震があってこの山頂から噴火し、焦煙天に満ち、灰砂雨のように降り、鳴動の声が百里に聞こえたと三代実録に記され、しばしば枚聞神に位階を進められたことがあります。山頂に石祠あり、彦火々出見尊、豊玉姫を祀ります。このほか山中には塩土翁修練所という天の岩屋、智通和尚の仙人洞、木花咲耶姫および大宮姫の誕生地と伝わる跡や、池田湖覗きという展望の勝地などがあります。

※底本:『日本案内記 九州篇(六版)』昭和13年(1938年)発行
開聞岳

令和に見に行くなら

名称
開聞岳
かな
かいもんだけ
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
鹿児島県指宿市
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

指宿驛下車、西の登山口入野まで約一五粁、自動車の便があるが、途中大山から東の登山口川尻まで約五粁徒步によるもよく、山頂まで何れも約三粁である。

開聞嶽は海門山とも云ひ、薩摩富士の名もある。薩摩半島の南端に聳え、海拔九二四米に達するコニーデ式の火山で、美しい圓錐形をなし、裾野は直に太平洋に洗はれ、景觀の秀絕なること何々富士と云はれる諸山の首位に推すべきものである。樹木は濶葉樹が多く、針葉樹は山麓に見られるのみである。

開聞嶽の噴火は、貞觀十六年七月二日地震ありてこの山頂噴火し、焦煙天に滿ち、灰砂雨の如く降り、鳴動の聲百里に聞ゆと三代實錄に見え、屢々枚聞神に位階を進められたことがある。山頂に石祠あり、彥火々出見尊、豐玉姬を祀る。この他山中には鹽土翁修練所と云ふ天の岩屋、智通和尙の仙人洞、木花咲耶姬及大宮姬の誕生地と傳ふる址や、池田湖覗きと云ふ展望の勝地などがある。

指宿のみどころ