日枝神社

日枝神社[官幣大社]

昭和初期のガイド文

麴町公園内にあり、大山咋神を祀ります。本殿、幣殿、拝殿、唐門、楼門を備えた権現造となっています。大正12年(1923年)の震災後に大修理を加え、朱塗、蝋色塗の柱、餝金具などが美しく輝いています。本社は室町時代の文明年中(1469~1487年)太田道灌が、江戸城内に創建したものに起源し、安土桃山時代の天正18年(1590年)徳川家康が江戸入城をした際、産土神と定めて以来、代々徳川将軍の崇敬厚く、家光以来たびたび参拝し、また正月と6月には必ず奉献していました。この地に遷されたのは江戸時代前期の万治2年(1659年)で、現在の建築はその当時のものです。毎年6月15日の例祭は古来山王祭と呼ばれ、神田明神の祭礼とともに名高く、今なお大いに賑わいます。

宝物には明治天皇御奉納の御太刀である白鞘銘備州長光を始めとして備後国行平、吉次、高包、長光(初代)、親依、則宗、守家、定利、福岡一文字、国綱、師光、延房、重久等作の糸巻太刀があり、いずれも国宝であり遊就館で展示されています。

※底本:『日本案内記 関東篇(初版)』昭和5年(1930年)発行

令和に見に行くなら

名称
日枝神社
かな
ひえじんじゃ
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
東京都千代田区永田町2-10-5
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

麴町公園內にあり、大山咋神を祀る。本殿、幣殿、拜殿、唐門、樓門を備へた權現造である。大正十二年の震災後大修理を加へ、朱塗、蝋色塗の柱、餝金具などが美はしく輝いて居る。本社は文明年中太田道灌が、江戶城內に創建せしに起原し、天正十八年德川家康が江戶入城の時、產土神と定めて以來、代々德川將軍の崇敬厚く、家光以來屢々社參の禮をあげ、また正月及六月には必ず幣帛を奉らしめて居た。今の地に遷されたのは萬治二年で、現今の建築はその當時のものである。每年六月十五日の例祭は古來山王祭と稱し、神田明神の祭禮と共に名高く、今尙大に賑ふ。

寶物には明治天皇御奉納御太刀白鞘銘備州長光を始めとして備後國行平、吉次、高包、長光(初代)、親依、則宗、守家、定利、福岡一文字、國綱、師光、延房、重久等作の絲卷太刀があり、何れも國寶であつて遊就館へ出陳中である。

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