栗駒山

栗駒山
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

(前半テキスト不明)2.5km登れば茶店があります。前面に横根岳の森林が見えます。ここからブナの美林に入って東桂沢を渡れば急な登りとなって約3kmで中小屋に達します。6月から9月中はこの小屋に宿泊することができます。そこからさらに1kmほど登ると森林はなくなり谷地に出ます。ここを古谷地といって草地にシラカバの大木が散見され、前面には笊森がそびえ眺望も次第に雄大になってきます。キャンプなどに良いところです。ここから左手に谷を隔てて栗駒山の裾を見て笊森の右手を3kmばかり緩やかな登りを行くと栗駒山の鞍部に達します。栗駒の山頂は左手にピラミッド形にそびえ、その右に遠く鳥海山の雄姿が現れて、展望はますます雄大になります。この鞍部から500mほど下ると磐井川の源流があります。そこから左手の小径を辿ってハイマツ帯と芝生の急な斜面を2.5kmばかり登ると山頂すなわち大日岳に達します。山頂は西南にやや緩やかな尾根を走らし、西北面はおおむねハイマツ帯で東南は急な草地の面となっています。

山頂の眺望は東の北上川下流の平野を隔てて太平洋を望み、東北に早池峰山、北の井沢岳の上に岩手山の頂を見、西は鳥海山、西南は月山を望み、その間荘内平野のかなたに日本海が見えます。南は船形山および蔵王山に対し、眺望非常に雄大です。

頂上から西南に進むこと1kmに駒形根神社があり、夏季の参拝者が多いところです。山頂から尾根を西南に進みハイマツを切り開いた道を右手に下ると三途川の谷を右に見、左手に剣山の岩峰を見つつ2か所の谷地を過ぎるとすぐ須川高原温泉に達します。

須川高原温泉から奥羽線湯沢駅まで約42km、同院内駅まで44km、この方面からも登ることができます。

※底本:『日本案内記 東北篇(初版)』昭和4年(1929年)発行
栗駒山

令和に見に行くなら

名称
栗駒山
かな
くりこまやま
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
宮城県、秋田県、岩手県
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

二粁半登れば茶店がある。前面に橫根嶽の森林が見える、これよりぶなの美林に入つて東桂澤を渡れば急な登りとなつて約三粁で中小屋に達する。六月から九月中はこの小屋に宿泊することが出來る。そこから尙一粁ばかり登ると森林は盡きて谷地に出る、こゝを古谷地と云つて草地に白樺の大木が散見され、前面には笊森が聳え眺望も次第に雄大になつて來る。キヤムピングなどに良い處である。こゝから左手に谷を隔てゝ栗駒山の裾を見て笊森の右手を三粁ばかり緩やかな登りを行くと栗駒山の鞍部に達する、栗駒の山頂は左手にピラミツド形に聳え、その右に遠く鳥海山の雄姿が現はれて、展望は益々雄大になる、この鞍部から五〇〇米ほど下ると磐井川の源流がある、そこから左手の小徑を辿つて偃松帶と芝生の急な斜面を二粁半ばかり登ると山頂卽ち大日嶽に達する、山頂は西南にやゝ緩やかな尾根を走らし、西北面は槪ね偃松帶で東南は急な草地の面となつて居る。

山頂の眺望は東方北上川下流の平野を隔てゝ太平洋を望み、東北に早池峰山、北方井澤嶽の上に岩手山の頂を見、西方は鳥海山、西南は月山を望み、その閒莊內平野のかなたに日本海が見える。南方は船形山及藏王山に對し、眺望頗る雄大である。

頂上より西南に進むこと一粁に駒形根神社があり、夏季參拜者が多い。山頂から尾根を西南に進み偃松を切開いた道を右手に下ると三途川の谷を右に見、左手に劍山の岩峰を見つゝ二ケ所の谷地を過ぎると直ぐ酢川溫泉に達する。

酢川溫泉から奧羽線湯澤驛まで約四二粁、同院內驛まで四四粁、この方面からも登ることが出來る。

平泉・一関のみどころ