石の宝殿

石の寶殿
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

宝殿駅の西約1.5km、宇治川電鉄伊保の北約1.5km、阿弥陀村生石にあります。県社生石神社の神体で、本殿背後の竜山と称する石英粗面岩の岩山の山腹にあり、幅7m弱、高さ約7.9m、大岩塊を長方形の家屋形に加工して未完成になっているもので、上には稚樹が生へ、周囲には水をたたえています。伝説によると往古大穴牟遅命と少彦名命が一夜のなかに石の殿堂を造ろうとされたが、中途で夜が明けたので、そのままになっているものだといいますが、実際に上代の加工物で、播磨風土記に見える弓削大連の造った大石と呼ぶものがこれであろうとの説があります。社殿の背後は観涛処と呼ばれ眺望美を有します。なお9月18、19両日の生石神社祭礼は賑わうといいます。

※底本:『日本案内記 近畿篇 下(初版)』昭和8年(1933年)発行

令和に見に行くなら

名称
石の宝殿
かな
いしのほうでん
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
兵庫県高砂市阿弥陀町生石21
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

寶殿驛の西約一粁半、宇治川電鐵伊保の北約一粁半、阿彌陀村生石にあり。縣社生石神社の神體で、本殿背後の龍山と稱する石英粗面岩の岩山の山腹にあり、幅七米弱、高さ約七米九、大岩塊を長方形の家屋形に加工して未完成になつて居るもので、上には稚樹が生へ、周圍には水を湛へて居る。傳說に據ると往古大穴牟遲命と少彥名命が一夜の中に石の殿堂を造らうとされたが、中途で夜が明けたので、その儘になつて居るものだと云ふが、蓋し上代の加工物で、播磨風土記に見ゆる弓削大連の造る大石と呼ぶものがこれであらうとの說がある。社殿の背後は觀涛處と呼ばれ眺望美を有する。尙九月十八、九兩日の生石神社祭禮は賑ふと云ふ。

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