輪王寺
輪王寺
昭和初期のガイド文
[天台宗] 奈良時代末期に勝道上人によって創建され、当初は「四本龍寺」と称されていました。その後、「満願寺」と改名され、さらに「輪王寺」と改称されました。現在では三仏堂、相輪塔、護法堂、常行堂、法華堂、慈眼堂などの建物があり、徳川三代将軍家光の霊を祀る「大猷廟」もこの寺院に属しています。輪王寺には多くの宝物があり、その一部は中禅寺の宝物館に展示されています。以下に主な宝物を挙げます。
- 蒔絵手筥[国宝]一合 安貞2年(鎌倉時代、1228年) 平助永による寄進。現在、東京国立博物館に出品中。
- 住ノ江蒔絵硯箱[国宝]一合 天海僧正が所持していたものと伝わっています。
- 銅磐[国宝]一個 小型で装飾文様がなく、表面中央に阿弥陀仏の種子が鋳出されています。裏面には次のように銘があります。「奉施入男体権現 建保5年(鎌倉時代、1217年)6月 金剛仏子浄智房猷宣 生年63歳 大工藤原兼則」
- 滝尾縁起[国宝]一巻 紙本墨書で、道珍大僧都による筆跡です。奥書には「天長二年(平安時代、825年)四月三日道珍記之」と記されています。
- 紺紙金泥巻子本般若心経 一巻 この経は奥書に「応永十三年(室町時代、1406年)十一月十三日 左兵衛督源朝臣満兼(花押)」とあり、足利満兼が書写したものです。満兼は関東管領基氏の孫で、氏満の子として生まれました。応永5年に管領職を継ぎましたが、応永16年に32歳で早逝しました。この経を書写したのは満兼29歳の時で、彼の直筆は非常に稀少です。この巻が輪王寺に伝わるのは、彼の末弟である満秀が輪王寺の別当だったことが関係しています。
- 東照大権現祝詞 一巻 春日局作と伝わり、仮名交じり文で振り仮名が付されています。奥書には次のように記されています。「南無東照大権現南無妙法一心観仏妙法蓮華経序品第一急々如律令 敬白」
- 阿弥陀経[国宝]一巻 櫻町天皇の宸翰による紺紙金泥楷書。奥書には以下の文が記されています。「今茲丁先帝七回忌御忌先帝嘗親書阿弥陀経之標識 今朕新書本経以祈冥福云
寛保三年(江戸時代、1743年)四月十一日
大日本国天子昭仁謹書」 - 東照権現像[国宝]8幅 紙本著色で、寛永16年(江戸時代、1639年)から正保4年(江戸時代、1647年)の間に、徳川家光が祈願を込めて描かせたものです。各像は服装や姿勢が異なり、それぞれ神秘的な意味を持つ徳川家康の肖像画です。
- 家光守袋箱[国宝]1個 角形の長い箱で、長さ約60cm、金梨地に葵紋を散らした蒔絵が施されています。中には守袋が6個収められ、「東照大権現」と墨書された紙札が納められています。
- 釈迦三尊 3幅 絹本著色で、狩野守信による筆です。
- 菊花双雀鏡[国宝]1面 青銅製の八稜形で、直径約23cm(7寸6分)です。表面には毛彫りで三尊仏と12体の化仏が彫刻されています。
- 太刀[国宝]1口 行平作で、銘に「寛正六年乙酉五月吉日奉施入中禅寺行台坊綱俊」と記されています。
※底本:『日本案内記 関東篇(初版)』昭和5年(1930年)発行
令和に見に行くなら
- 名称
- 輪王寺
- かな
- りんのうじ
- 種別
- 見所・観光
- 状態
- 現存し見学できる
- 住所
- 栃木県日光市山内2300
- 参照
- 参考サイト(外部リンク)
日本案内記原文
[天台宗] 奈良時代の末、勝道上人の創建にして始めは四本龍寺と稱し、後滿願寺と改名され、更にまた輪王寺と變つたのである。今三佛堂、相輪橖、護法堂、常行堂、法華堂及慈眼堂などがあり、德川三代將軍家光の靈を祀れる大猷廟もこの寺に屬して居る。この寺には多くの寶物があり、その一部分は中禪寺の寶物館に陳列してある。左に列擧したのは寶物の主なるものである。
- 蒔繪手筥[國寶]一合 安貞二年平助永施入 東京帝室博物館出陳
- 住ノ江蒔繪硯箱[國寶]一合 傳天海所持
- 銅磐[國寶]一個 磐としては小形で何等裝飾文樣もなく、表面中央に阿彌陀佛の種子を鑄出して撞坐となし、その左右に光明眞言を刻書し、裏面に「奉施入男體權現建保五年丁丑六月日金剛佛子淨智房猷宣生年六十三大工藤原兼則」の銘がある。
- 瀧尾緣起[國寶]一卷 紙本墨書 道珍大僧都筆 奧書に「天長二年乙巳四月三日道珍記之」とある。
- 紺紙金泥卷子本般若心經 一卷 本經は奧書に
應永十三年十一月十三日
左兵衛督源朝臣滿兼(花押)
とある如く足利滿兼の書寫せるものである。滿兼は關東管領基氏の孫氏滿の子で、應永五年管領職を繼ぎ同十六年三十二歳で早世したから、本經を書寫したのは正に彼の二十九歲の時である。關東公方の運命は數奇を極めたために基氏以外の筆蹟はその遺品が稀であり、殊に滿兼は早世したため殆んどそれが傳はらないのに、會々この一卷を本寺に藏することは珍重すべきことである。これは彼の末弟滿秀が當山の別當であつた關係から本寺に納めたものである。 - 東照大權現祝詞 一卷 傳春日局作 假名交文振假名附 奧に「南無東照大權現南無妙法一心觀佛妙法蓮華經序品第一急々如律令 敬白」とある。
- 阿彌陀經[國寶]一卷 櫻町天皇宸翰、紺紙金泥楷書
奧書
今茲丁先帝七囘御忌先帝嘗親書阿彌陀經之標識今朕新書本經以祈冥福云
寛保三年四月十一日
大日本國天子昭仁謹書 - 東照權現像[國寶]八幅 紙本著色、寛永十六年から正保四年に至る間に、家光が祈誓をこめて畫かしめたもので、各像とも服裝及姿勢を異にし、何れも神祕的の意味をもつた家康の畫像である。
- 家光守袋箱[國寶]一個 角形長筥長約六〇糎、金梨地局紅模樣の葵紋散蒔繪。中に守袋六個あり、「東照大權現」と墨書された紙札が納めてある。
- 釋迦三尊 三幅 絹本著色 狩野守信筆
- 菊花雙雀鏡[國寳]一面 靑銅製八稜形、徑二三糎(七寸六分)、表面に毛彫を以て三尊佛及化佛十二體があらはされて居る。
- 太刀[國寶]一口 行平作、銘「寛正六年乙酉五月吉日奉施入中禪寺行臺坊綱俊」