御殿場口

御殿場口
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

御殿場駅から富士山頂まで約20km、駅を出て西北に向かい御殿場の街村を過ぎ、浅間神社を経て裾野の平原を進めば4kmで滝河原に至ります。ここに陸軍の廠舎があります。ここから鏡原の草野を進み、一里塚(海抜784m)を過ぎ馬返し(1,020m)に至れば、密林のなかに入りミヤマザクラ、ホテイカエデなどの広葉樹の間にコメツガ、トウヒのような針葉樹が混ざり、広葉喬木帯上部の景観となります。林中の太郎坊(1,300m)を過ぎ焼野に入り二合目(1,578m)からは左に近く二ツ塚(1,820mおよび1,926m)が見えます。ヤマヤナギの団叢や、イタドリが多くなり、イワタデ、フジアザミを混ざるなかを進み、三合目(2,155m)に至れば下山道の砂走りに出会います。ここから焼砂は大きくなり四合目(2,410m)からは熔岩流の上を進み、左には宝永山(2,702m)が美しく見え、六合目(2,830m)で中道巡り道を横ぎります。七合目(3,000m)からは夏も谷間に残る積雪が見えます。八合目(3,240m)から大たるみを経て、胸突八丁の嶮を過ぎ頂上銀明水に達します。

※底本:『日本案内記 関東篇(初版)』昭和5年(1930年)発行

令和に見に行くなら

名称
御殿場口
かな
ごてんばぐち
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
備考
現在は新五合目が起点となります。
住所
静岡県御殿場市
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

御殿場驛より富士山頂まで約二〇粁、驛を出て西北に向ひ御殿場の街村を過ぎ、淺閒神社を經て裾野の平原を進めば四粁で瀧河原に至る。こゝに陸軍の廠舍がある。これより鏡原の草野を行く、一里塚(海拔七八四米)を過ぎ馬返(一、〇二〇米)に至れば、密林の中に入りみやまざくら、ほていかへでなどの濶葉樹の閒にこめつが、たうひの如き針葉樹を混じ、濶葉喬木帶上部の景を呈す。林中の太郞坊(一、三〇〇米)を過ぎ燒野に入り二合目(一、五七八米)よりは左に近く二ツ塚(一、八二〇米及一、九二六米)を望む。やまやなぎの團叢や、いたどりが多くなり、いはたで、ふじあざみを混ずる中を進み、三合目(二、一五五米)に至れば下山道の砂走に出會ふ。これより燒砂は大きくなり四合目(二、四一〇米)よりは熔岩流の上を行く、左方には寬永山(二、七〇二米)が美しく見え、六合目(二、八三〇米)で中道巡り道を橫ぎる。七合目(三、〇〇〇米)からは夏時も谷閒に殘る積雪が見える。八合目(三、二四〇米)から大たるみを經、胸突八丁の嶮を過ぎ頂上銀明水に達する。

御殿場のみどころ