信夫山

信夫山

昭和初期のガイド文

福島駅の北約1.5km、市の北に屹立し、海抜273m、石英粗面岩からなります。駅前から福島電車で約20分、岩谷観音前で下車、西に進めば直ちに山の東麓に達します。ここに岩谷観音があり、江戸時代に彫刻された三十三観音その他の磨崖仏があります。ここから山麓に沿って約1km西に進み、信夫山公園に登ると、北隅に延喜式内の黒沼神社および招魂社があります。園内からは福島市街を一眸のなかに収め、吾妻の火山、阿武隈の流を望んで風景がよいところです。ここからさらに北へ登ると寺山の東面に薬王寺があり、その東北谷山の絶頂に羽黒神社があります。この社は信夫伊達2郡の総社と称され、現在なお多くの参拝者があります。谷山の東南山腹の糟魂の叢中に鎌倉時代の供養碑があります。

※底本:『日本案内記 東北篇(初版)』昭和4年(1929年)発行

令和に見に行くなら

名称
信夫山
かな
しのぶやま
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
福島県福島市御山早坂山
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

驛の北約一粁半、市の北方に屹立し、海拔二七三米、石英粗面岩より成る。驛前から福島電車で約二十分閒、岩谷觀音前で下車、西方に進めば直ちに山の東麓に達する。こゝに岩谷觀音があり、江戶時代に彫刻された三十三觀音その他の磨崖佛がある。こゝから山麓に沿うて約一粁西に進み、信夫山公園に登ると、北隅に延喜式內の黑沼神社及招魂社がある。園內からは福島市街を一眸の中に收め、吾妻の火山、阿武隈の流を望んで風景がよい。これより更に北へ登ると寺山の東面に藥王寺があり、その東北谷山の絕頂に羽黑神社がある。この社は信夫伊達二郡の總社と稱され、今尙多くの參拜者がある。谷山の東南山腹の糟魂の叢中に鐮倉時代の供養碑がある。

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