栗林公園

栗林公園[指定名勝]
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

高松駅の南約2km、市内栗林町にあり、電車および自動車の便があります。

高松市の南端、紫雲山麓にあって総面積約76万m²あります。江戸時代前期の寛永19年(1642年)藩祖松平頼重が初めてここに隠居所を造営したことにはじまり、その後、五世頼恭に至るまで約80年の間に泉水、築山、亭館が完成しました。幕末維新の際、庭園は荒廃にまかされ、茶室、亭舎、多くが壊されましたが、明治8年(1875年)公園として以来、県営にて諸施設を整備し維持に努めています。

園は大別して北庭と南庭に分かれ、北庭は大正2年(1913年)の改修を経て半ば洋式庭園となっています。南庭は自然の松林と豊富な湧泉を利用した古来の純日本式庭園で芙蓉峰、偃月橋などの辺りは最も雅趣あるところです。

正門を入ると突き当りに公園碑があります。道を左にとって進めば南折して永代橋を渡り、右に芙蓉池、左に群鴨池が見えます。梅園を左に見て南へ進めば北庭の中央に位置する商品陳列所の前を通り、その前には百石松があります。梅林橋、俗称赤橋を渡り、数十歩東南へ至れば東に北湖の全景が見え、対岸に芙蓉峯が望まれます。さらに南進して青石橋を渡れば右に桜園があり、涵翠池の畔に出れば池を隔ててソテツの丘があり、叢生する高低さまざまなソテツ群の異観があります。八橋を見、留玉の橋を渡って左転し西に進む歩路は南湖の南岸に沿っています。南湖の東端には偃月橋、吹上亭、飛来峰、飛猿巌などの名ある勝景があります。偃月橋上からは湖の西岸の掬月亭を望み、紫雲山の翠巒が仰がれ、南園の勝景を蒐めて園中の偉観であるといいます。園の東隅には動物園およびプールがあります。

※底本:『日本案内記 中国・四国篇(初版)』昭和9年(1934年)発行
栗林公園 栗林公園

令和に見に行くなら

名称
栗林公園
かな
りつりんこうえん
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
香川県高松市栗林町1-20-16
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

驛の南約二粁、市內栗林町にあり、電車及自動車の便がある。

高松市の南端、紫雲山麓にあつて總面積約七六ヘクタールある。寬永十九年藩祖松平賴重が初めてこゝに隱居所を經營せしに始まり、その後、五世賴恭に至るまで約八十年の閒に泉水、築山、亭館が完成した。幕末維新の交、庭園は荒廢に委せられ、茶室、亭舍、多く毀卻されたが、明治八年公園となして以來、縣營にて諸施設をなし維持に努めて居る。

園は大別して北庭と南庭に分れ、北庭は大正二年の改修を經て半ば洋式庭園となつて居る。南庭は自然の松林と豐富な湧泉を利用した古來の純日本式庭園で芙蓉峯、偃月橋などの邊りは最も雅趣ある所である。

正門を入ると突當りに公園碑がある、道を左にとつて進めば南折して永代橋を渡り、右に芙蓉池、左に群鴨池を見る。梅園を左に見て南すれば北庭の中央に位する商品陳列所の前を通り、その前には百石松がある。梅林橋俗稱赤橋を渡り、數十步東南へ至れば東に北湖の全景が見え、對岸に芙蓉峯が望まれる。更に南して靑石橋を渡れば右に櫻園あり、涵翠池の畔に出れば池を隔てゝ蘇鐵の岡に叢生する高低參差の蘇鐵群の異觀がある。八橋を見、留玉の橋を渡つて左轉西に進む步路は南湖の南岸に沿うて居る。南湖の東端には偃月橋、吹上亭、飛來峯、飛猿巖などの名ある勝景がある。偃月橋上からは湖の西岸の掬月亭を望み、紫雲山の翠巒仰がれ、南園の勝景を蒐めて園中の偉觀であると云ふ。園の東隅には動物園及プールがある。

高松のみどころ