宝福寺
寶福寺[臨濟宗東福寺派]
昭和初期のガイド文
西総社駅の北約1.5km、総社町井山にあります。鎌倉時代の貞永中(1232~1233年)の創建で開山は日輪阿遮梨です。至鈍慧聴禅師が伽藍を修め、玉渓和尚が三重塔を造営しました。安土桃山時代の天正年間(1573~1592年)兵燹に罹り、慶長6年(1601年)空山禅師の時、小堀遠江守政一によって旧観を復したといいます。雪舟は幼い頃この寺にあり、涙の痕で描いた鼠があたかも生鼠のように、師僧大いに感歎したという有名な逸話を伝えています。境内に雪舟の碑が建っています。
境内にある三重塔は三間三層、初層および二重は本瓦葺で、三重は銅板葺になっています。室町時代の遺構で国宝に指定されています。
- 宝物
- 地蔵菩薩像[国宝] 絹本著色 1幅 地蔵菩薩の半跏像を中心として冥官天王の属を配し、六道能化の意を図現したもので、室町時代初期の遺作です。
- 十王像[国宝] 絹本著色 10幅 十王を10幅に書き分け各罪人を審判せるところを描いたもので、明画風を伝えた室町時代の作です。
※底本:『日本案内記 中国・四国篇(初版)』昭和9年(1934年)発行
令和に見に行くなら
- 名称
- 宝福寺
- かな
- ほうふくじ
- 種別
- 見所・観光
- 状態
- 現存し見学できる
- 住所
- 岡山県総社市井尻野1968
- 参照
- 参考サイト(外部リンク)
日本案内記原文
西總社驛の北約一粁半、總社町井山にある。貞永中の創建で開山は日輪阿遮梨である。至鈍慧聽禪師伽藍を修め、玉溪和尙三層塔を造營した。天正年閒兵燹に罹り、慶長六年空山禪師の時、小堀遠江守政一によつて舊觀を復したと云ふ。雪舟幼時この寺にあり、淚痕を以て描きたる鼠恰も生鼠の如く、師僧大いに感歎したと云ふ有名な逸話を傳へて居る。境內に雪舟の碑が建つて居る。
境內にある三重塔婆は三閒三層、初層及二重は本瓦葺で、三重は銅板葺になつて居る。室町時代の遺構で國寶に指定されて居る。
- 寶物
- 地藏菩薩像[國寶] 絹本著色 一幅 地藏菩薩の半跏像を中心として冥官天王の屬を配し、六道能化の意を圖現したもので、室町時代初期の遺作である。
- 十王像[國寶] 絹本著色 十幅 十王を十幅に書き分け各罪人を審判せる所を描いたもので、明畫風を傳へた室町時代の作である。