野幌原始林

野幌原始林[指定天然記念物]
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

野幌林業試験林のほぼ中央にあって2か所に分かれ、面積約3km²です。内部には緩い高低があり、低いところは静かな渓谷のようになっていて、草木の発生が特に盛んです。森林の樹木は針葉、広葉両類にわたって種類に富んでいますが、全林を通じてトドマツが最も多く、壮大な純林となっているところがあります。広葉樹のなかで大木となっているものにはセンノキ、カツラ、ミズナラ、シナノキなどがあり、またクリ、コナラ、イタヤカエデ、ホホノキ、ミズキ、ベニヤマザクラ、ナナカマド、コシアブラなどが混生しています。蔓木蔓草も多く、ノリノキ、サルナシ、ヤマブドウの類が樹幹の高所にまで絡みつき、サルオカゼ、ヒゲゴケその他の地衣類および種々の蘚苔類がその間を埋めています。林底にはネマガリダケが密生して人の高さを超えるほどで、また巨大なフキその他種々の花草が叢生して、花園的な景観となっているところがあり、林内は植物の種類が非常に豊富です。

※底本:『日本案内記 北海道篇(五版)』昭和11年(1936年)発行
野幌国有林

令和に見に行くなら

名称
野幌原始林
かな
のっぽろげんしりん
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
北海道北広島市西の里
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

野幌林業試驗林の略々中央にあつて二箇所に分れ、面積約三方粁である。內部には緩い高低存し、低處は幽邃なる溪澗を呈し、草木の發生が特に盛である。森林の樹木は針葉、濶葉兩類に亙つて種類に富めるが、全林を通じて「とどまつ」が最も多く、壯大な純林をなせる處がある。濶葉樹中大木となれるものには「せんのき」、「かつら」、「みづなら」、「しなのき」等があり、また「くり」、「こなら」、「いたやかへで」、「ほほのき」、「みづき」、「ベにやまざくら」、「ななかまど」、「こしあぶら」等が混生して居る。蔓木蔓草も多く、「のりのき」、「さるなし」「やまぶだう」の類が樹幹の高處にまで纏繞し「さるをかぜ」、「ひげごけ」その他の地衣類及種々の蘚苔類その閒を點綴して居る。林底には「ねまがりだけ」密生して高さ人長を超え、また巨大な「ふき」その他種々の花草叢生して、花園的景觀を呈するところがあり、林內植物の種類が頗る豐富である。

野幌・江別のみどころ