華厳滝
昭和初期のガイド文
中禅寺湖の吐口である大尻から東方約500mの位置にあり、石英斑岩が浸食された地形を男体山から流れ出た溶岩が覆い、その溶岩の上にこの滝が形成されています。もともと中禅寺湖は、東方に広がる大谷川の河谷と繋がっていましたが、男体山の溶岩がその水路を塞ぎ、現在の滝が生まれました。滝がかかる岩壁は厚さ約50mの男体山の溶岩で、その下層に石英斑岩があります。華厳滝の総高さは約100m、幅は上部で約10mあり、滝壺は深さ約20mです。溶岩の下端は集塊岩状をなし、地下水がここに集中し、石英斑岩のすぐ上から流れ落ちます。これにより主瀑の両側にいくつもの小さな滝が作られています。滝の水は淡い青緑色をしており、岩壁の前で一直線に落下する姿は非常に壮観です。毎年4月から11月には岩燕がこの岩壁に多く巣を作り、滝の前を群れで飛び交う光景が見られます。冬季になると滝水が枯れ、主瀑は姿を消し、地下水から流れる小さな滝だけが残ります。
滝を見るには「太平」から中禅寺湖方面の道を左に分かれ、瀧見茶屋のあたりから滝見台に向かうルートが最も手軽です。ただし、滝をじっくり鑑賞するには滝坂を下り、白雲滝を経て五郎兵衛茶屋に至り、滝を下から見上げる方法をおすすめします。
令和に見に行くなら
- 名称
- 華厳滝
- かな
- けごんのたき
- 種別
- 見所・観光
- 状態
- 現存し見学できる
- 住所
- 栃木県日光市中宮祠2479-2
- 参照
- 参考サイト(外部リンク)
日本案内記原文
中禪寺湖の吐口大尻より東方約五〇〇米にあり、石英斑岩の浸蝕面を掩ふ男體熔岩に懸る。もと中禪寺湖はその東方の大谷川の河谷と連ぬるに、他の水路を取つて居たものであるが、男體山から熔岩が流れ出てその水路を堰塞し、こゝにこの瀧が形成せられた。瀧の懸る岩壁は厚さ約五〇米の男體熔岩で石英斑岩の上に橫はる。華嚴瀧の總高は約一〇〇米、幅は上部で約一〇米、瀧壺は深さ二〇米、熔岩の下端は集塊岩狀をなし、地下水はこゝにしぼられ、石英斑岩の直上より流下し、主瀑の兩側に數條の小瀑布を作つて居る。水色は淡碧色を呈し、岩壁の前に直下し、極めて壯觀を呈する。毎年四月から十一月までは岩燕多くこの岩壁に巢ぐひ、瀑前に群をなして飛翔する。瀧水は冬季は涸れて主瀑は消滅し、僅に地下水より來る小瀑布を見るにとゞまる。
瀧を見るには太平で中禪寺道から左に分れ、瀧見茶屋の處より瀧見臺に至り、高い處から眺めるのが、到達最も容易である。しかし十分に賞美するには瀧坂を下り、白雲瀧を經て、五郞兵衞茶屋に至り、下方より仰ぎ見るがよい。