湯沢噴泉塔
昭和初期のガイド文
湯沢の噴泉塔は、日光湯元の北約20kmにある湯沢渓谷に位置し、指定された天然記念物です。
途中、西沢金山には宿泊施設があり、金山から噴泉塔までは約8kmの道のりです。最初の2kmは急な登り坂で、次の4kmは比較的平坦な橇道となり、最後の2kmは険しい下り坂です。湯沢渓谷では、温泉があちこちに湧き出し、硫黄が沈殿している様子が見られます。噴泉塔は円錐形をしており、本流左岸の崖に4つ、また左岸に注ぐ支流の出口付近に2つ存在しています。本流沿いの4つの噴泉塔のうち最大のものは、現在も頂上の噴孔から温泉が溢れ、塔自体が成長を続けています。この塔の底部は直径約1m、高さは約60cmで、他の3つの塔はそれよりも小さく、現在は温泉が噴出していません。支流沿いの2つの噴泉塔のうち、大きなものは底部の直径・高さともに約30cmで、頂上には南北に並んだ大小2つの噴孔があります。大きな噴孔からは熱水の飛沫が高さ約2m、小さな噴孔からは水球が高さ約60cmまで飛び上がっています。塔の底部は鱗片状や階段状をしており、底部からは多くの鍾乳石が崖に沿って垂れ下がっています。噴泉塔は主に炭酸カルシウムで構成され、少量の硫黄や珪酸が混じっています。内部の古い部分は堅固な霰石で、外部の新しい部分は柔らかく、容易に粉末状になります。これらを沈殿させる温泉は無色透明で、硫化水素の匂いがあり、わずかに塩味を帯びたアルカリ性の温泉です。温度は約94℃に達しています。
令和に見に行くなら
- 名称
- 湯沢噴泉塔
- かな
- ゆざわふんせんとう
- 種別
- 見所・観光
- 状態
- 現存し見学できる
- 備考
- 登山道が荒廃しているため、気軽に行ける場所ではありません。
- 住所
- 栃木県日光市
- 参照
- 参考サイト(外部リンク)
日本案内記原文
日光湯元の北二〇粁、湯澤の溪谷にある指定の天然記念物である。
その途中西澤金山に宿舍がある。金山からは八粁、始めの二粁は急に登り、次の四粁は橇路で割合に平坦最後の二粁は嶮峻な下りである。湯澤の溪谷には溫泉が處々に湧出して硫黄が沈澱して居る。噴泉塔は圓錐形をなし、本流左岸の懸崖に四箇を存し、また左岸に注ぐ支流の吐口に近く二箇を存する。前者は近づくことが出來ないが、後者は到達容易である。本流に沿へる四箇の噴泉塔中最大のものは現に頂上の噴孔から溫泉が溢流し、塔は現に生長しつゝある。その底部は直徑約一米、高さは六〇糎位、他の三箇はそれよりも著しく小で、溫泉が噴出して居ない。支流に沿へる二箇の噴泉塔中大なるものは、底部の直徑及高さ共に約三○糎、頂上には南北に竝ぶ大小二箇の噴孔がある。大孔は熱水の飛沫を二米餘の高さに、小孔は水球を六〇糎の高さに飛昇せしめて居る。塔の底部は鱗片狀及小規模の階段狀をなし、底部からは數多の鍾乳石が懸崖に沿うて垂下して居る。噴泉塔は主として炭酸カルシウムより成り、小量の硫黄及珪酸を混じ、成生の古き內部は堅實な霰石で、新しい外部は柔軟で容易に粉末となる。これらの物質を沈澱する溫泉は無色透明で、硫化水素の臭氣を放ち、微鹹味を帶びてアルカリ反應を呈し、溫度は攝氏九四度である。