華厳道(いろは坂)
昭和初期のガイド文
中禅寺湖口から約1km進むと、男体山の溶岩に覆われた石英斑岩が坂道の右側に現れます。この石英斑岩は灰色をしており、石英や長石の斑晶が見られ、古生代の粘板岩の角礫も含んでいます。この場所には大谷川に架かる幸橋があり、そこから男体山の溶岩による高さ約200mにおよぶ断崖を見ることができます。この断崖は「屏風岩」と呼ばれ、柱状節理がよく観察できます。幸橋から北西に約200m進むと栄橋を渡り、大谷川を離れます。その後さらに200m進むと、深澤川に架かる深澤橋に到達します。ここからジグザグに曲がる坂道を登っていきます。坂の脇では、軽石層の下から男体山の溶岩が見られます。剣ヶ峰茶屋から北に進むと、般若滝と方等滝の2つの滝が並んでいます。どちらも深澤川にかかる滝です。般若滝は右側にあり、高さ36m、幅1mで、男体山の溶岩の断崖を流れ落ちています。一方、方等滝は左側にあり、高さ30m、幅5mで、凝灰岩にかかる滝です。この先では石英斑岩が露出する場所を通り、火山噴出物が厚く覆う平地へと出ます。この平地は「大平」と呼ばれ、美しいダケカンバの森林が広がっています。ここから左側の大谷川の谷に下ると華厳滝に至ります。その途中には白雲滝があります。この滝は、男体山の溶岩の隙間から湧き出た地下水が岩壁を滑り落ちるもので、風情のある景観を楽しめます。
令和に見に行くなら
- 名称
- 華厳道(いろは坂)
- かな
- けごんどう(いろはざか)
- 種別
- 見所・観光
- 状態
- 状態違うが見学可
- 住所
- 栃木県日光市
- 参照
- 参考サイト(外部リンク)
日本案内記原文
中禪寺口から一粁で男體熔岩に掩はれた石英斑岩が坂道の右側に現はれる。この石英斑岩は灰色を呈し、石英及長石の斑晶があり、また古生代の粘板岩の角礫を混じて居る。こゝにある大谷川の幸橋から、男體熔岩の二〇〇米に及ぶ斷崖が右方に見える。これを屏風岩と云ひ、柱狀節理がよく現はれて居る。幸橋から西北に進むこと二〇〇米で榮橋を渡り、大谷川を離れ、更に西進二〇〇米で支流の深澤に架する深澤橋を渡る。これよりジツクザックの坂道を登る。坂傍には輕石層の下に男體熔岩が見える。劍ケ峰茶屋から北方に般若、方等の二瀑布が竝ぶ。共に深澤にあり、般若瀧は右にあり高さ三六米、幅一米、男體熔岩の斷崖にかゝる。方等瀧は左にあり高さ三〇米、幅五米、集塊岩にかゝる。これより石英斑岩の露出する處を過ぎ、火山噴出物の厚く掩へる平地に出る。こゝを大平と云ひ、岳樺の美林がある。それより左方大谷川の谷に下れば華嚴瀧に至る。その途中に白雲瀧がある。この瀧は男體熔岩の間から湧出する地下水の、岩壁を滑り落ちるものである。