鬼の洗濯板

靑島村の隆起海床と奇形波蝕痕[指定天然記念物]
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

熱帯性植物をもって名高い青島の基盤は第三紀層で、砂岩と頁岩の互層からなり、その走向と傾斜は場所によって多少の差はありますが、走向大約北24度東、傾斜は約12度です。島の周囲には23か所の断層が見られます。傾斜した砂岩と頁岩の互層に波蝕が加わって、亀甲状の乾裂面が多く、穿孔貝のうがった小孔は水蝕によって蜂窩状となり、打ち寄せる男波女波は岩礁に砕けて花と散り、海岸を隈取る緑濃き樹林が海光と映じ、景観はなんともいえないものがあります。青島から南下して内海峠の東側に出ると地層の断面がその走向と同方向に整然と横たわり、さらに南の巾着島付近に至れば、小乾裂の奇態を目撃することができます。青島から巾着島までが指定の地域です。

※底本:『日本案内記 九州篇(六版)』昭和13年(1938年)発行

令和に見に行くなら

名称
鬼の洗濯板
かな
おにのせんたくいた
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
宮崎県宮崎市青島13
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

熱帶性植物を以て名高い靑島の基盤は第三紀層で、砂岩と頁岩の互層から成り、その走向と傾斜は場所に依て多少の差はあるが、走向大約北二四度東、傾斜は約一二度である。島の周圍には二三ケ所の斷層を認める。傾斜せる砂岩と頁岩の互層に波蝕が加はり、龜甲狀の乾裂面多く、穿孔貝の穿つた小孔は水蝕に依つて蜂窩狀をなし、打寄する男波女波は岩礁に碎けて花と散り、海岸を隈取る綠濃き樹林海光と映じ、景觀云ふべからざるものがある。靑島より南して內海峠の東側に出ると地層の斷面がその走向と同方向に整然と橫はり、更に南して巾着島附近に至れば、小乾裂の奇態を目擊することが出來る。靑島から巾着島までが指定の地域である。

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