吹上浜

吹上濱
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

南薩鉄道吹上浜駅下車、薩摩半島の砂浜で、川辺郡万世町、日置郡田布施村、伊作町、永吉村、吉利村、東市来村、日置村、市来町、串木野村にわたり、長さおよそ40km、老松は繁茂してすべて砂に埋もれ、わずかに少し幹を見せ、ほとんど稚松の密林を観るような風景です。「吹上の松は真砂に埋れて老木ながらの小松原かな」とはよく実際の風景を詠んだものです。この地方はひと朝西北の烈風が起これば、白砂は濃霧のように空に吹き上げられ、遠い村落におよぶから、近隣の民家は田圃が砂に埋れるのを恐れて各々防砂林を設けています。砂丘の最も高いものは蓮の峠と呼ばれて田布施村高橋に属し、高橋の吹上の名もあります。

※底本:『日本案内記 九州篇(六版)』昭和13年(1938年)発行
吹上浜

令和に見に行くなら

名称
吹上浜
かな
ふきあげはま
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
鹿児島県日置市、南さつま市
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

同吹上濱驛下車、薩摩半島の砂濱で、川邊郡萬世町、日置郡田布施村、伊作町、永吉村、吉利村、東市來村、日置村、市來町、串木野村に亙り、長さ凡そ四〇粁、老松繁茂して悉く砂に埋れ、僅に梢幹を露し、殆ど稚松の密林を觀る感がある。「吹上の松は眞砂に埋れて老木ながらの小松原かな」とはよく眞景を詠んだものである。この地方は一朝西北の烈風が起れば、白砂は濃霧の漲るが如く空に吹き上げられ、遠い村落に及ぶから、近傍の民家は田圃の埋滅を慮れて各々防砂林を設けて居る。砂丘の最も高きものは蓮の峠と呼ばれて田布施村高橋に屬し、高橋の吹上の名もある。

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