市来温泉

市來溫泉
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

湯之元駅の南0.5km、湯之元湯泉ともいいます。二百数十年前、西市来の金鐘寺の僧が露天に浴槽を設けて一般に入浴させたのがこの温泉の起源で、坊主湯の名の起こりです。明治維新前は藩の直轄経営で、御前湯、地頭湯、坊主湯、打込湯に4分され、藩主の御仮屋なども設けられていました。近年盛んに掘鑿され、明礬湯、福の湯、朝日湯、日之出湯、田の湯等あり、鹿児島、川内人士の歓楽境として栄え脂粉の香が濃い。温泉は食塩含有硫黄泉で皮膚病、リウマチ、腺病、婦人病などに効くといい、明礬湯は眼疾に特効があるといわれています。

付近には山海の眺観がいい遠見番山、稲勧山連丘の七曲峠、湯田橋近くにかかる大瀑、鶴丸城址、来迎寺内に丹後局の墓などあり、西の海岸には海水浴に適した赤崎浜、戸崎鼻、江口蓬萊の勝あり、吹上浜の長汀が長く南に続いています。旅館は朝日屋、玉屋、菊屋、二葉ほか数軒。

※底本:『日本案内記 九州篇(六版)』昭和13年(1938年)発行

令和に見に行くなら

名称
市来温泉
かな
いちきおんせん
種別
温泉
状態
現存し見学できる
住所
鹿児島県いちき串木野市湊町1
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

湯之元驛の南半粁、湯之元湯泉とも云ふ。二百數十年前、西市來の金鐘寺の僧が露天に浴槽を設けて一般に入浴せしめたのがこの溫泉の起源で、坊主湯の名の起りである。明治維新前は藩の直轄經營で、御前湯、地頭湯、坊主湯、打込湯に四分され、藩主の御假屋なども設けられて居た。近年盛に掘鑿せられ、明礬湯、福の湯、朝日湯、日之出湯、田の湯等あり、鹿兒島、川內人士の歡樂境として榮え脂粉の香が濃い。溫泉は食鹽含有硫黃泉で皮膚病、リウマチス、腺病、婦人病などに效くと云ひ、明礬湯は眼疾に特效があると云はれて居る。

附近には山海の眺觀を有する遠見番山、稻勸山連丘の七曲峠、湯田橋近くに懸る大瀑、鶴丸城址、來迎寺內に丹後局の墓などあり、西方海岸には海水浴に適する赤崎濱、戶崎鼻、江口蓬萊の勝あり、吹上濱の長汀がながく南に續いて居る。旅館 朝日屋、玉屋、菊屋、二葉他數軒。

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