船小屋温泉

船小屋鑛泉
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

船小屋駅の東約1km、自動車の便があります。矢部川と松永川の合流点にある水郷の湯町でホタルの名所として知られています。もと東古河原といいましたが、土木用の船を格納する仮小屋が堤防上に散在していたので船小屋と呼ぶようになりました。泉源は松永川の西岸にあり、スズメがその蒸気に触れて死ぬことがあったのでスズメの地獄とよばれています。含鉄炭酸泉で飲用すれば血液を増し、身体を強壮にし、胃腸病を治すといいます。浴用には加熱していて、胃腸病、神経系統症、リウマチ、痔疾などに効くといいます。日露戦争当時陸軍の転地療養所となり、次第にその名を知られて来ましたが、脂粉の香の濃い遊楽境で、料理屋兼業の旅館が多いところです。旅館は樋口軒、玉振館、凌雲館、九州館、大正館ほか二十数軒。

※底本:『日本案内記 九州篇(六版)』昭和13年(1938年)発行

令和に見に行くなら

名称
船小屋温泉
かな
ふなごやおんせん
種別
温泉
状態
現存し見学できる
住所
福岡県筑後市
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

船小屋驛の東約一粁、自動車の便がある。矢部川と松永川の合流點にある水鄕の湯町で螢の名所として知られて居る。もと東古河原と云つたが、土木用の船を格納する假小屋が堤防上に散在して居たので船小屋と呼ぶ樣になつた。泉源は松永川の西岸にあり、雀がその水氣に觸れて死ぬのがあつたので雀の地獄と稱して居る。含鐵炭酸泉で飮用すれば血液を增し、身體を强壯にし、胃腸病を治すと云ふ。浴用には加熱して居り、胃腸病、神經系統症、リウマチス、痔疾などに效くと云ふ。日露の役當時陸軍の轉地療養所となり、次第にその名を知られて來たが、脂粉の香の濃い遊樂境で、料理屋兼業の旅館が多い。旅館 樋口軒、玉振館、凌雲館、九州館、大正館外二十數軒。

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