法華経寺

中山法華經寺[日蓮宗大本山]
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

下総中山駅の北約0.5km、富城氏日常上人の開基と伝えています。境内は広く仁王門、祖師堂、法華堂、五重塔などの大建築があります。五重塔は江戸時代前期の元和8年(1622年)本阿弥光室の本願により加賀の大守前田利光の寄進したものです。各層方三間、屋根各層銅板葺、桝組は唐様三手先を用い、尾棰を備えています。各層の均衡にやや欠けるところがありますが、その朱色は緑樹の間にあって一美観を添えています。法華堂は祖師堂の後にあって室町時代の建築です。五間四面単層入母屋造銅板葺で、桝組は唐様三斗を用い、木鼻に簡素な絵様彫刻があります。柱はすべて円柱を建て、前面一間通を吹き放って外陣とし、外陣の仕切には蔀格子がはめられています。要するに非常に簡素な建築で室町時代の特徴を残しています。前方にある四脚門も室町時代の建築で、五重塔および法華堂とともに国宝に指定されています。

  • 宝物
  • 十六羅漢六曲屏風[国宝] 一双 絹本著色、高さ約1.2m、宋末元初趙璚筆 16図像中4図は後世の補筆ですが、他の12図は趙璚の筆で、うち2図に趙璚筆の落款が残っています。五彩および金泥をもって美しく彩色を施した優秀な作で、南中国で行われた羅漢画の一様式を示しています。現在東京帝室博物館へ出陳されています。趙璚は中国の画伝にその名を残した画家でその遺墨が日本に流伝して今日に残っていることは貴重なものです。
※底本:『日本案内記 関東篇(初版)』昭和5年(1930年)発行

令和に見に行くなら

名称
法華経寺
かな
ほけきょうじ
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
千葉県市川市中山2-10-1
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

驛の北約半粁、富城氏日常上人の開基と傳へて居る。境內廣く仁王門、祖師堂、法華堂、五重塔婆などの大建築がある。五重塔婆は元和八年本阿彌光室の本願により加州の大守前田利光の寄進したものである。各層方三閒、屋根各層銅板葺、桝組は唐樣三手先を用ゐ、尾棰を備へて居る。各層の權衡に稍缺くる所あるも、その朱色は綠樹の閒にあつて一美觀を添へて居る。法華堂は祖師堂の後にありて室町時代の建築である。五閒四面單層入母屋造銅板葺で、桝組は唐樣三斗を用ゐ、木鼻に簡素なる繪樣彫刻がある。柱はすべて圓柱を建て、前面一閒通を吹き放ちて外陣となし、外陣の仕切には蔀格子がはめられて居る。要するに頗る簡素なる建築にして室町時代の特徵を存して居る。前方にある四脚門も室町時代の建築で、五重塔婆及法華堂と共に國寶に指定されて居る。

  • 寶物
  • 十六羅漢六曲屏風[國寶] 一雙 絹本著色高約一米二(四尺)、宋末元初趙璚筆 十六圖像中四圖は後世の補筆であるが、他の十二圖は趙璚の筆で、うち二圖に趙璚筆の落款が殘つて居る。五彩及金泥を以て美はしく彩色を施した優秀なる作で、南支那に行はれたる羅漢畫の一樣式を示して居る。今東京帝室博物館へ出陳されて居る。趙璚は支那の畫傳にその名を逸した畫家で偶々その遺墨がわが國に流傳して今日に存することは珍重すべきである。

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