出流山満願寺

出流山千手院[新義眞言宗]
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

栃木駅の西北約23km、下都賀郡寺尾村出流にあります。途中鍋山まで13km自動車の便があり、また東武鉄道葛生駅からも向かうことができます。奈良時代の天平年間(729~749年)勝道上人の創建と伝え、千手観音像を安置しています。現在の本堂は宝暦年間の再建で、五間五面入母屋造、軒唐破風を有する三間の向拝があり、桝組は唐様三手先を用い、竜形の尾棰を加え、江戸時代における仏寺建築の特徴を示しています。本堂の背後にあたる山腹の絶壁に奥の院の窟あり、石段によって至り、その内部にある巨大な鍾乳石は自然に十一面観音の像を現すものとして拝まれています。毎年旧3月21日の御影供には参詣者多く大いに賑わうといいます。

※底本:『日本案内記 関東篇(初版)』昭和5年(1930年)発行

令和に見に行くなら

名称
出流山満願寺
かな
いずるさんまんがんじ
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
栃木県栃木市出流町288
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

驛の西北約二三粁、下都賀郡寺尾村出流にある。途中鍋山まで一三粁自動車の便があり、また東武鐵道葛生驛よりも達せられる。天平年閒勝道上人の創建と傳へ、千手觀音像を安置して居る。今の本堂は寶曆年閒の再建で、五閒五面入母屋造、軒唐破風を有する三閒の向拜があり、桝組は唐樣三手先を用ゐ、龍形の尾棰を加へ、江戶時代に於ける佛寺建築の特徵を示して居る。本堂の背後に當る山腹の絕壁に奧の院の窟あり、石階によつて達せられ、その內部にある巨大なる鍾乳石は自然に十一面觀音の像を現はすものとして拜まれて居る。每年舊三月二十一日の御影供には參詣者多く大に賑ふと云ふ。

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