王福寺の薬師像

王福寺藥師像[國寶]
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

二宮駅の東北約4km、中郡国府村寺坂の王福寺にあり、自動車の便があります。一木造、高さ約1.3m、全面黒ずんで唇にのみ朱色を残し、面貌は豊満、偉風堂々とした結跏趺坐の像です。首部の様子などに良く藤原時代の特徴を示していますが、胸部やそのほかの曲線にやや柔かみが欠けている点は、鎌倉時代初期の製作のためでしょう。この地は鎌倉時代に相模国府のあったところで、この像はその当時栄えていた王福寺の名残りを留めるものです。

※底本:『日本案内記 関東篇(初版)』昭和5年(1930年)発行

令和に見に行くなら

名称
王福寺の薬師像
かな
おうふくじのやくしぞう
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
神奈川県中郡大磯町寺坂639
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

二宮驛の東北約四粁、中郡國府村寺坂王福寺にあり、自動車の便がある。一木造、高さ約一米三(四尺三寸)全面黑ずんで唇にのみ朱色を存し、面貌豐滿、偉風堂々たる結跏趺坐の像である。首部の相好に著しく藤原時代の特徵を示すも、胸部そ他の曲線にやゝ柔かみを缺くものあるは、鐮倉時代初期の製作なるが故であらう。蓋しこの地は鐮倉時代に相模國府のあつた所で、この像は卽ちその當時盛んであつた王福寺の名殘を止むるものである。

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