護国寺

護國寺[新義眞言宗]

昭和初期のガイド文

市内電車護国寺前下車、江戸時代前期の天和元年(1681年)の創建で亮賢僧正の開山です。亮賢は徳川綱吉の生母桂昌院の尊信を得て、その本願により当寺を建立しました。寺の後の墓地に亮賢の墓があり、また境内の墓地に三条実美、山田顕義、山県有朋、大隈重信などの墓があります。

  • 宝物
  • 尊勝曼荼羅[国宝] 一幅 絹本著色、鎌倉時代 除病息災などのために修する尊勝法の本尊で、その図像は中央の円内に七獅子の上に座り頭上に五智(五仏)の宝冠を載き手に智拳印を結んでいる大日如来を現していて、その周囲に8個の円を描いて八仏頂を現し、下辺の左に降三世明王、右に不動明王を現しています。その精細な筆致、繊麗な着色、整った描線は藤原式仏画の構式を伝えていますが、描線がやや固く仏体に豊満なところが少なく面相に優しさの表現が乏しいのは、その製作が鎌倉時代になるためでしょう。この種の曼荼羅でここまで精彩なものはほかに類が少なく特に東京の寺院にあるのは珍しいものです。
  • 金銅五鈷鈴[国宝] 一個 藤原時代 形体に表現された曲線美、把握部の下方に施された優美な唐草模様などに藤原時代の趣を現していてまれに見る優秀な作品です。
※底本:『日本案内記 関東篇(初版)』昭和5年(1930年)発行

令和に見に行くなら

名称
護国寺
かな
ごこくじ
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
東京都文京区大塚5-40-1
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

市內電車護國寺前下車、天和元年の創建で亮賢僧正の開山である。亮賢は德川綱吉の生母桂昌院の尊信を得て、その本願により當寺を建立した。寺の後の墓地に亮賢の墓があり、尙境內の墓地に三條實美、山田顯義、山縣有朋、大隈重信などの墓がある。

  • 寶物
  • 一 尊勝曼荼羅[國寶] 一幅 絹本著色、鐮倉時代 除病息災などの爲に修する尊勝法の本尊で、その圖像は中央の圓內に七獅子の上に坐し頭上に五智(五佛)の寶冠を載き手に智拳印を結んで居る大日如來を現はし、その周圍に八個の圓を描いて八佛頂を現はし、下邊の左に降三世明王右に不動明王を現はして居る。その精細な筆致、纖麗な賦彩及肥瘦なき描線は藤原式佛畫の構式を傳へて居るが、描線のやゝ固くなり佛體に豐滿な處が少く面相に優しい表現の乏しいのはその製作が鐮倉時代なるがためであらう。この種の曼荼羅でこんなに精彩なのは他に類が少く殊に東都の寺院にあるのは珍重すべきである。
  • 一 金銅五鈷鈴[國寶] 一個 藤原時代 形體に現はされた曲線美、把握部の下方に施された優美な唐草模樣などに藤原時代の趣味を現はしたもので稀に見る優秀な作品である。

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