吾妻山スキー場

吾妻山スキー場
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

吾妻山は出雲と備後の国境線に沿って連なる山脈中の雄峰で、吾妻山(1,240m)、烏帽子山(1,225m)、立烏帽子山(1,279m)等が連なり、立烏帽子山が最も高い山です。いずれも中級程度の山稜で中腹にはブナの原生林が美しく、山頂付近はおおむね草原とツツジの美しい高原となり、四季を問わず優雅な山々です。冬季は12月から3月まで積雪多く、最もスキーに適しています。例年12月下旬から50cm以上、多雪の時は3m近い積雪があり、尾根筋や山腹はいたるところスキー滑走に好適な斜面の連続で、森林帯の霧氷の美観は素晴らしいものがあります。

山腹には立派なスキーヒュッテ(小屋)が設備され約40人の収容力があります。広島方面や遠く九州方面からのスキー客で賑わいます。

交通は備後庄原駅から約32km森脇まで自動車で行き、森脇から頂上まで約4kmです。多雪の年は庄原付近に相当な積雪があり、沿線付近でも充分にスキ一ができ、盤の谷峠も好適です。年によって多雪の時はこの庄原からの自動車が不通となることもありますが大抵吾妻山麓比和までは通じます。吾妻山を中心として三国山や遠く道後山付近までの一帯は面白いスキーツアーのコースを秘めています。道後山はまた将来庄原線と伯備線とを通じる鉄道が開通すれば、最も便利なスキー場となるべきところです。

広島から汽車で約3時間半、自動車で2時間でこの吾妻山スキー場へ入ることができます。

※底本:『日本案内記 中国・四国篇(初版)』昭和9年(1934年)発行

令和に見に行くなら

名称
吾妻山スキー場
かな
あづまやますきーじょう
種別
レジャー
状態
現存しない
備考
スキー場の整備は現在されていないようです。

日本案内記原文

吾妻山は出雲と備後の國境線に沿うて連なる山脈中の雄峯で、吾妻山(一、二四〇米)、烏帽子山(一、二二五米)、立烏帽子山(一、二七九米)等が連り、立烏帽子山が最も高い。何れも中級程度の山稜で中腹にはぶなの原生林が美しく、山頂附近は槪ね草原とつゝじの美しい高原をなし、四季甚だ優雅な山々である。冬季十二月から三月まで積雪多く、最もスキーに適して居る。例年十二月下旬から五〇糎以上、多雪の時は三米近い積雪があり、尾根筋や山腹は到る處スキー滑走に好適な斜面の連續であり、森林帶の霧氷の美觀は素晴らしい。

山腹には立派なスキーヒユツテ(小屋)が設備され約四十人の收容力がある。廣島方面や遠く九州方面からのスキー客で賑ふ。

交通は備後庄原驛から約三二粁森脇まで自動車で行く、森脇から頂上まで約四粁である。多雪の年は庄原附近に相當な積雪があり、沿線附近でも充分にスキ一が出來、盤の谷峠も好適である。年に依つて多雪の時はこの庄原からの自動車が不通となることもあるが大抵吾妻山麓比和までは通ずる。吾妻山を中心として三國山や遠く道後山附近までの一帶は幾多興味あるスキーツーアのコースを祕めて居る。道後山はまた將來庄原線と伯備線とを通ずる鐵道が開通すれば、最も便利なスキー場となるべきところである。

廣島から汽車約三時閒半自動車二時閒でこの吾妻山スキー場へ入られる。

三次・庄原のみどころ