帝釈台

帝釋臺
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

帝釈峡谷の東西に広がる台地を帝釈台と称します。水渡、新坂、久代、帝釈の4村にわたる石灰岩地で、炭酸を含む水の浸蝕作用によって種々特有な地貌を生じています。石灰岩の裂隙が雨水の浸蝕作用を受けて漏斗状または摺鉢状に変化した石灰鉢(ドリーネ)は合計おおよそ170か所の多数に達し、永渡村79、新坂村68、久代村23です。多数のドリーネの成長連結した窪地にて漏斗状長橢円および瓢などの形態をした石灰皿(ウバーレ)は総数12か所に達し、永渡村5、新坂村5、久代村2です。洞窟は永渡村11、新坂村8、帝釈村2、久代村1、合計22に達し、就中帝釈村の鬼の岩屋、白雲洞、永渡村の天川洞はともに奥行200m以上におよぶ雄大なものです。ドリーネの分布密度は1km²につき山口県秋吉台が30~40であるのに対し、帝釈台は48~68に達しています。

※底本:『日本案内記 中国・四国篇(初版)』昭和9年(1934年)発行

令和に見に行くなら

名称
帝釈台
かな
たいしゃくだい
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
広島県庄原市東城町帝釈未渡
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

帝釋峽谷の東西に擴る臺地を帝釋臺と稱する。水渡、新坂、久代、帝釋の四村に亙る石灰岩地で、炭酸を含む水の浸蝕作用によつて種々特有な地貌を生じて居る。石灰岩の裂隙が雨水の浸蝕作用を受けて漏斗狀または摺鉢狀に變化した石灰鉢(ドリーネ)は合計凡そ百七十箇の多數に達し、永渡村七十九、新坂村六十八、久代村二十三である。多數のドリーネの成長連結した窪地にて漏斗狀長橢圓及瓢などの形態をなした石灰皿(ウバーレ)は總數十二箇に達し、永渡村五、新坂村五、久代村二である。洞窟は永渡村十一、新坂村八、帝釋村二、久代村一、合計二十二に達し、就中帝釋村の鬼の岩屋、白雲洞、永渡村の天川洞は共に奧行二〇〇米以上に及ぶ雄大なものである。ドリーネの分布密度は一方粁につき山口縣秋吉臺が三十乃至四十なるに對し、帝釋臺は四十八乃至六十八に達して居る。

東城のみどころ