関之尾甌穴群

關の尾の甌穴[指定天然記念物]
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

都城駅の西北8kmあまり、谷頭駅からは西6km、市外庄内町関之尾を流れる庄内川にあり、自動車の便があります。長さ約500m、幅30~40mにおよぶ安山岩の河床一面に現れています。河床となる溶岩に粗大な柱状節理が発達して、断面が亀甲状となり、節理にあたる弱い所に河水によって運ばれた礫石が回転して岩石を磨滅し、次第に円状の穴をうがったものが甌穴で、亀甲岩の名があります。甌穴は直径1~1.3mくらい、深さは底に礫石があるため明確でありませんが、2m以上におよぶものもあるようです。このようなものが河床一面に幾百個並んでいるのは珍しい風景です。甌穴は岩面に壺を掘り込んだようなものだけではありません。流れの方向に浅い薬研状の凹みとなったもの、さらに浸蝕が進んで深い溝状となったもの、数個を連ねて連鎖状になったもの、2つ以上の穴が次第に成長してひとつになった不規則のものなどがあります。

※底本:『日本案内記 九州篇(六版)』昭和13年(1938年)発行

令和に見に行くなら

名称
関之尾甌穴群
かな
せきのおおうけつぐん
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
宮崎県都城市関之尾町
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

都城驛の西北八粁餘、谷頭驛からは西六粁、市外庄內町關の尾を流れる庄內川にあり、自動車の便がある。長さ約五〇〇米、幅三〇米乃至四〇米に及ぶ安山岩の河床一面に現れて居る。河床をなす溶岩に粗大なる柱狀節理が發達して、斷面龜甲狀を呈し、節理に當る弱所に河水に依つて運ばれた礫石が回轉して岩石を磨滅し、次第に圓狀の穴を穿ちたるものが甌穴で、龜甲岩の名がある。甌穴は直徑一米乃至一米三位、深さは底に礫石があるから明確でないが、二米以上に及ぶものもあらう。かくの如きものが河床一面に幾百個相竝んで居るのは奇觀である。甌穴は岩面に壺を掘込んだやうなものゝみではない。流れの方向に淺い藥硏狀の凹處をなすもの、更に浸蝕が進んで深い溝狀をなすもの、數個を連ねて連鎖狀になつたもの、二つ以上の穴が次第に成長して一つになつた不規則のもの等がある。

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