鹿児島県のツルおよびその渡来地

鹿兒島縣鶴渡來地[指定天然記念物]
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

米ノ津駅下車、米ノ津町、三笠村、高尾野町、野田村等です。海岸の松林に沿い、後ろに丘を控えた広い水田と畑地で、この付近を荒崎田圃といいます。近年渡来する数が著しく増加して1,000羽に達するといわれます。多くはナベヅルで、マナヅルは数十羽に過ぎません。これらの鶴は夏は東部シベリア、満州、北部朝鮮等で繁殖し、10月中旬にはるばる日本海を渡って、翌年3月中旬までこの地で過ごすものです。従来阿久根付近をねぐらとしていましたが、近年は昼夜ともこの付近で暮らし、昼は早朝から小群となり、随所に分散して餌を採っていますが、夕方にはこの荒崎田圃の中央に集って、夜を明かします。現在阿久根では2~3羽ずつ少数のものが見られるに過ぎません。

※底本:『日本案内記 九州篇(六版)』昭和13年(1938年)発行

令和に見に行くなら

名称
鹿児島県のツルおよびその渡来地
かな
かごしまけんのつるおよびそのとらいち
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
鹿児島県出水市
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

米ノ津驛下車、米ノ津町、三笠村、高尾野町、野田村等である。海岸の松林に沿ひ、後に岡を控へた廣い水田と畑地で、この附近を荒崎田圃と云ふ。近年渡來する數が著しく增加して一千羽に達すると云はれる。多くは鍋鶴で、眞鶴は數十羽に過ぎない。これ等の鶴は夏季東部シベリヤ、滿州、北部朝鮮等で蕃殖し、十月中旬に遙々日本海を渡つて、翌年三月中旬までこの地で過すのである。從來阿久根附近を塒として居つたが、近年は晝夜共この附近で暮し、晝は早朝から小群をなし、隨所に分散して餌を採つて居るが、夕刻にはこの荒崎田圃の中央に集つて、夜を明かすのである。今阿久根には二、三羽づつ少數のものが見られるに過ぎない。

出水・阿久根のみどころ