山鹿温泉

山鹿溫泉
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

山鹿町にあり、町営です。後白河天皇の頃、平安時代の保元2年(1157年)、宇野親治が狩りに出て、渓谷の泉に鹿が浸っているのを見て、温泉が涌出しているのを発見したと伝え、現在浴場は竜の湯、松の湯、紅葉湯、桜湯、梅の湯の5つに分かれています。竜の湯は御前湯ともいい、旧藩主の入湯にあてられたもので、現在は貴賓用に供されます。温泉の排水を利用して洗濯場が設けられ、町の人は皆ここで洗濯したもので、昔は「山鹿千軒たらいなし」と言ったものですが、現在もなおその風習が残っています。温泉は炭酸アルカリ泉で温度42度、リウマチ、神経衰弱症、腹膜炎などに効くといいます。

町の灯籠祭は有名ですが、他に4月10日から10日間湯祭が行われます。これは室町時代の文明3年(1471年)に突然温泉が涸渇した際、その再興に心を尽した金剛乗寺法印宥明大徳に対する謝恩の祭です。旅館は洗心閣、鹿門館、松栄館、山福、末広、桜井旅館ほか数軒。

※底本:『日本案内記 九州篇(六版)』昭和13年(1938年)発行
山鹿温泉

令和に見に行くなら

名称
山鹿温泉
かな
やまがおんせん
種別
温泉
状態
現存し見学できる
住所
熊本県山鹿市
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

山鹿町にあり、町營である。後白河天皇の保元二年、宇野親治が狩に出で、溪谷の泉に鹿群の浸つて居るのを見て、溫泉の涌出するを發見したと傳へ、今浴場は龍の湯、松の湯、紅葉湯、櫻湯、梅の湯の五つに分れて居る。龍の湯は御前湯とも云ひ、舊藩主の入湯に充てられたもので、今は貴賓用に供せられる。溫泉の排水を利用して洗濯場が設けられ、町の人は皆こゝで洗濯したもので、昔は「山鹿千軒盥なし」と云つたものであるが、今も尙その風が殘つて居る。溫泉は炭酸アルカリ泉で溫度四十二度、リウマチス、神經衰弱症、腹膜炎などに效くと云ふ。

町の燈籠祭は有名であるが、他に四月十日から十日閒湯祭が行はれる、これは文明三年に突然溫泉が涸渴した際、その再興に心を盡した金剛乘寺法印宥明大德に對する謝恩の祭である。旅館 洗心閣、鹿門館、松榮館、山福、末廣、櫻井旅館外數軒

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