一乗寺

一乘寺(法華山)[天臺宗]
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

播丹鉄道法華口駅の西4km、下里村坂本法華山上、幽邃の地にあります。西国巡礼二十六番の札所です。

老徳天皇の御世天竺法道山人の開基と伝わり、室町時代の大永年間(1521~1528年)山名氏の兵火に罹り堂宇を焼失しました。その後幾変遷を経て今もなおこの地方の巨刹として名高く、本堂は江戸時代の再建ですが、妙見堂、弁天堂、護法堂、および三重塔などは鎌倉および室町時代の建築で、その他にも古仏像を所蔵しています。

三重塔[国宝] 本堂に至る高い石段の途中左側に東面して建っています。三間三層、屋根本瓦葺の建築にして形態よく整い、桝組は唐様三手先の詰組を用い、木割の雄大な室町時代の建築です。

本堂石段を登り詰めたところにあり、九間八面、屋根本瓦葺、舞台造の尨大な江戸時代の建築で、本尊観音像を安置しています。

妙見堂[国宝] 本堂の後方丘麓にあり、三間社流造朱塗、桝組は実肘木を施した三斗を組み、中備には優美な蟇股を置いています。鎌倉時代の建築です。

弁天堂[国宝] 妙見堂と相接して建っています。一間社春日造、妙見堂と同時代の建築で屋根は今本瓦葺となっています。

護法堂[国宝] 本堂の後、妙見堂の右手の丘上に離れて建っています。同じく鎌倉時代の一間杜春日造で屋根は本瓦葺になっています。

  • 宝物
  • 五大力吼像[国宝] 1幅 絹本著色、鎌倉時代
  • 聖観音立像[国宝] 銅造、2体
  • 聖徳太子および高僧像[国宝] 10幅 絹本著色、藤原時代、奈良帝家博物館出陳
  • 阿弥陀如来像[国宝] 1幅 絹本著色、京都博物館出陳
※底本:『日本案内記 近畿篇 下(初版)』昭和8年(1933年)発行

令和に見に行くなら

名称
一乗寺
かな
いちじょうじ
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
兵庫県加西市坂本町821-17
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

播丹鐵道法華口驛の西四粁、下里村坂本法華山上、幽邃の地にあり。西國巡禮二十六番の札所である。

老德天皇の御世天竺法道山人の開基と傳ふ、大永年閒山名氏の兵火に罹り堂宇を燒失した。その後幾變遷を經て今も尙この地方の巨刹として名高く、本堂は江戶時代の再建であるが、妙見堂、辨天堂、護法堂、及三重塔婆等は鐮倉及室町時代の建築で、その他にも古佛像を藏して居る。

三重塔婆[國寶] 本堂に至る高い石段の途中左側に東面して建つて居る。三閒三層、屋根本瓦葺の建築にして形態よく整ひ、桝組は唐樣三手先の詰組を用ゐ、木割の雄大な室町時代の建築である。

本堂石段を登り詰めた所にあり、九閒八面、屋根本瓦葺、舞臺造の尨大な江戶時代の建築で、本尊觀音像を安置して居る。

妙見堂[國寶] 本堂の後方丘麓にあり、三閒社流造朱塗、桝組は實肘木を施せる三斗を組み、中備には優美な蟇股を置いて居る。鐮倉時代の建築である。

辨天堂[國寶] 妙見堂と相接して建つて居る。一閒社春日造、妙見堂と同時代の建築で屋根は今本瓦葺となつて居る。

護法堂[國寶] 本堂の後、妙見堂の右手の丘上に離れて建つて居る。同じく鐮倉時代の一閒杜春日造で屋根は本瓦葺になつて居る。

  • 寶物
  • 五大力吼像[國寶] 一幅 絹本著色、鐮倉時代
  • 聖觀音立像[國寶] 銅造、二軀
  • 聖德太子及高僧像[國寶] 十幅 絹本著色、藤原時代、奈良帝家博物館出陳
  • 阿彌陀如來像[國寶] 一幅 絹本著色、京都博物館出陳

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