水沢緯度観測所
昭和初期のガイド文
水沢駅の西南1.5km、北緯39度8分4秒、東経141度7分52秒、海抜62m。地球回転軸の位置の変化を知るため緯度の礎化の量を恒星観測によって調べている天文台で、この事業のために列国が共同的に設けた世界の三観測所のひとつです。観測に用いる天頂儀は反射望遠鏡でドイツのワンシャッフの製造した極めて精巧なものです。これは広さ3mm²高さ約2mの室に、地下5mのところから花崗石で積み上げた土台の上に据えられています。夏は午後9時から翌日午前3時まで、冬は午後7時から翌日午前1時までの間に天頂に近く通過する六等星位の小さな星の子午線通過の際の赤緯を測ります。その観測は西暦1900年から始まって現在まで継続しています。最初から22年間は観測簿をドイツのポツダムにある万国測地学協会中央局に集めて計算し極軌道を算出していましたが、1922年以降は日本のこの観測所が万国天文同盟会緯度変化委員会の中央局となってイタリアのカルロフォルテおよびアメリカのユキアの2緯度観測所の概測簿を毎月集めて計算しています。理学博士木村栄氏がZ項を発見して世界的の名声を得たもこの天文台でのことです。
令和に見に行くなら
- 名称
- 水沢緯度観測所
- かな
- みずさわいどかんそくじょ
- 種別
- 見所・観光
- 状態
- 状態違うが見学可
- 備考
- 現在の国立天文台水沢VLBI観測所です。当時の建物は木村榮記念館として保存されています。
- 住所
- 岩手県奥州市水沢星ガ丘町2-12
- 参照
- 参考サイト(外部リンク)
日本案内記原文
驛の西南一粁半、北緯三九度八分四秒、東經一四一度七分五二秒、海拔六二米。地球回轉軸の位置の變化を知らうとして緯度の礎化の量を恆星觀測によつて調べて居る天文臺で、この事業のために列國が共同的に設けた世界の三觀測所の一である。觀測に用ゐる天頂儀は反射望遠鏡でドイツのワンシヤツフの製造した極めて精巧なものである。これは廣さ三米平方高さ約二米の室に、地下五米の處から花崗石で積み上げた土臺の上に据ゑられて居る。夏季は午後九時から翌日午前三時まで冬季は午後七時から翌日午前一時までの閒に於て天頂に近く通過する六等星位の小さな星の子午線通過の際の赤緯を測る。その觀測は西曆一九〇〇年から始まつて今日に繼續して居る。最初から二十二年閒は觀測簿をドイツのポツダムにある萬國測地學協會中央局に集めて計算し極軌道を算出して居たが、一九二二年以降はわが國のこの觀測所が萬國天文同盟會緯度變化委員會の中央局となつてイタリヤのカルロフオルテイ及米國のユキアの二緯度觀測所の槪測簿を每月集めて計算して居る。理學博士木村榮氏がZ項を發見して世界的の名聲を得たもこの天文臺に於てしたことである。