クルス場

くるす場
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

水沢駅の西南約3km、水沢町の郊外塩釜にあります。安土桃山時代の慶長年間(1596~1615年)木挽四郎兵衛が深くカトリックを信じ、国禁に触れて磔刑に処された場所と伝えられ、その北0.5kmに五島寿庵の居館の跡と称するところがあります。寿庵は塩釜の中心で、カトリックを奉じ、慶長年間胆沢川の水を引き胆沢郡東南部の平野に灌漑する寿庵堰を開鑿した人です。また塩釜の東に接する福島で発見されたカトリックのメダルが現在4つ残っています。その2つは同所菊池安吉氏の屋敷内にある観音堂に秘蔵されていたもので現在菊池氏が保有しています。ほかの2つは鈴木伝氏の旧宅を壊した時床下から発見されたもので、現在同氏が保管しています。これらのメダルには聖母または十字架上のイエスを拝する図が鋳出されています。

※底本:『日本案内記 東北篇(初版)』昭和4年(1929年)発行

令和に見に行くなら

名称
クルス場
かな
くるすば
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
岩手県奥州市水沢袖谷地44-10
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

驛の西南約三粁、水澤町の郊外鹽釜にある。慶長年閒木挽四郞兵衞が深く天主敎を信じ、國禁に觸れて磔刑に處せられた場所と傳へられ、その北半粁に五島壽庵の居館の址と稱する處がある。壽庵は鹽釜の邑首で、天主敎を奉じ、慶長年閒膽澤川の水を引き膽澤郡東南部の平野に灌漑する壽庵堰を開鑿した人である。また鹽釜の東に接する福島で發見された天主敎のメダルが今四箇殘つて居る。その二箇は同所菊池安吉氏の屋敷內にある觀音堂に祕藏されて居たもので今菊池氏が持つて居る。他の二箇は鈴木傳氏の舊宅を壞した時床下から發見されたもので、今同氏が持つて居る。これらのメダルには聖母または十字架上のイエスを拜する圖が鑄出されて居る。

水沢・北上のみどころ