スナメリクジラ廻遊海面
すなめりくぢら廻游海面[指定天然記念物]
昭和初期のガイド文
大乗駅の西南海上3km、大乗村にあり、阿波島南端の白鼻岩を中心とする半径1.5kmの圏内海面です。スナメリクジラは極めて小型のクジラで、アフリカ喜望岬からインド洋、フイリピン近海に分布し、春季温帯の内海に廻遊するようです。阿波島近海では毎年1月下旬に数頭現れ、3月下旬彼岸前後に廻遊の最高潮に達して50頭あまりの集団となり、繁殖をした後5月頃次第に内海に離散し、8~9月内海を去って南に廻遊するようです。阿波島近海はこの一定の季節において誰でもクジラたちの生活状態を観察しうる便利な地点です。
※底本:『日本案内記 中国・四国篇(初版)』昭和9年(1934年)発行
令和に見に行くなら
- 名称
- スナメリクジラ廻遊海面
- かな
- すなめりくじらかいゆうかいめん
- 種別
- 見所・観光
- 状態
- 現存し見学できる
- 住所
- 広島県竹原市高崎町
- 参照
- 参考サイト(外部リンク)
日本案内記原文
大乘驛の西南方海上三粁、大乘村にあり、阿波島南端白鼻岩を中心とする半徑一粁半の圈內海面である。すなめり鯨は極めて小形の鯨で、アフリカ喜望岬から印度洋、フイリピン近海に分布し、春季溫帶の內海に廻游するやうである。阿波島近海では每年一月下旬數頭現れ、三月下旬彼岸前後に廻游の最高潮に達して五十頭餘の集團となり、繁殖をした後五月頃漸次內海に離散し、八九月內海を去つて南方に廻游するやうである。阿波島近海はこの一定の季節に於て何人も鯨群の生活狀態を觀察し得るに便利な地點である。