志度寺

志度寺[眞言宗]
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

志度駅の東0.5km、志度町の東部にあります。謡曲海人で有名で、四国遍路第86番の札所です。境内は極めて広く、北は内海に臨んで屋島、八栗五剣山を眺め、松籟颯々、幽邃の地です。仁王門を入って南の方に海人の墓というのが古木の下にあります。この寺はその創建は遠く崇峻天皇時代にあると伝え、この地方の古刹です。現存堂宇の多くは江戸時代以後の建築で本堂、大師堂、閻魔堂、薬師堂、地蔵堂等があります。

本堂 七間五面、単層屋根入母屋造、本瓦葺の建築で、次の本尊が安置されています。

十一面観音両脇士立像[国宝] 中尊は蓮坐とも一木彫、高さ約183cm、姿態にやや窮屈な感じがありますが、平安初期一木彫の型を示しています。両脇士像は不動明王と毘沙門天の立像で、両像とも天部像としては非常に温和な表情を示した藤原時代の作です。

霊宝閣 多数の寺宝が陳列されていますがその主要なもの数点を次に示します。

  • 十一面観音立像[国宝] 1幅 絹本著色、縦約265cm、幅約114cm、左手に3茎の蓮花を挿した宝瓶を持ち、右手は垂下して与願印を結んでいます。宋末元初の中国画で描線は力強いものです。
  • 志度寺縁起図[国宝] 6幅 絹本著色、縦208cm、幅152cm、この寺の建立の縁起を描いたもので、謡曲「海人」と同じ物語です。室町時代の作。
※底本:『日本案内記 中国・四国篇(初版)』昭和9年(1934年)発行
志度寺

令和に見に行くなら

名称
志度寺
かな
しどじ
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
香川県さぬき市志度1102
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

志度驛の東半粁、志度町の東部にある。謠曲海人で有名であり、四國遍路第八十六番の札所である。境內極めて廣く、北は內海に臨んで屋島、八栗五劔山を眺め、松籟颯々幽邃の地である。仁王門を入りて南の方に海人の墓と云ふのが古木の下にある。當寺はその創建遠く崇峻天皇時代にありと傳へ、この地方の古刹である。現存堂宇の多くは江戶時代以後の建築にして本堂、大師堂、閻魔堂、藥師堂、地藏堂等がある。

本堂 七閒五面、單層屋根入母屋造、本瓦葺の建築で、次の本尊が安置されて居る。

十一面觀音兩脇士立像[國寶] 中尊は蓮坐共一木彫、高さ約四尺八寸二分、姿態に稍々窮屈な感があるが、平安初期一木彫の型を示して居る。兩脇士像は不動明王と毘沙門天の立像にして、兩像とも天部像としては頗る溫和な表情を示した藤原時代の作である。

靈寶閣 多數の寺寶が陳列されて居るがその主要なるもの數點を次に示す。

  • 十一面觀音立像[國寶] 一幅 絹本著色、堅約七尺幅約三尺、左手に三莖の蓮花を插した寶甁を持ち、右手は垂下して與願印を結ぶ、宋末元初の支那畫で描線遵勁である。
  • 志度寺緣起圖[國寶] 六幅 絹本著色、竪五尺五寸、幅四尺、當寺建立の緣起を描いたもので、謠曲「海人」と同じ物語である。室町時代の作。

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