鞆公園

鞆公園[指定名勝]
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

鞆鉄道鞆駅から約1kmで海岸に出で、ここから約300mの沖合仙酔島にあり、鞆町に属します。仙酔島はほぼ矩形を呈し、西北から東南に至る長径約1,200m、東北から西南に至る短径約800m、付近に弁天島、皇后島、躑躅島等の小島が散在しています。仙酔島は時代不明の泥板岩および砂岩、沖積層、石英斑岩、岩脈をなす岩石等からなり、石英斑岩は本島および付近の小島の大部分を構成するものです。島の中央部に海抜159mの大弥山がそびえています。本島の小浦から東に進み、北岸に廻れば、赤岩の岩窟、俎岩の岩脈、猿渡りと称する岩石の裂罅、こうもり穴があり、獅子の目洞穴、五色岩、いかの明神洞穴、高桟敷洞穴、象の鼻、別名経ヶ崎があり、桂状節理を示す材木岩、明神松、祇園崎、小垣の穴と呼ばれる天然橋、あがりたての洞穴、あかだすきすなわち赤色岩脈、眼鏡岩といわれる2個の天然橋等があります。皇后島には宿禰洞、大牛の鼻、小牛の鼻があって、大牛の鼻には天然橋および洞穴があり、小牛の鼻には天然橋があります。

※底本:『日本案内記 中国・四国篇(初版)』昭和9年(1934年)発行

令和に見に行くなら

名称
鞆公園
かな
ともこうえん
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
広島県福山市鞆町
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

同鞆驛から約一粁にして海岸に出で、これより約三〇〇米の沖合仙醉島にあり、鞆町に屬する。仙醉島は略矩形を呈し、西北より東南に至る長徑約一、二〇〇米、東北より西南に至る短徑約八〇〇米、附近に辨天島、皇后島、躑躅島等の小島が散在して居る。仙醉島は時代不明の泥板岩及砂岩、沖積層、石英斑岩、岩脈をなす岩石等より成り、石英斑岩は本島及附近の小島の大部分を構成するものである。島の中央部に海拔一五九米の大彌山が聳えて居る、本島の小浦から東方に進み、北岸に廻れば、赤岩の岩窟、俎岩の岩脈、猿渡りと稱する岩石の裂罅、かうもり穴があり、獅子の目洞穴、五色岩、いかの明神洞穴、高棧敷洞穴、象の鼻一名經ケ崎があり、桂狀節理を呈する材木岩、明神松、祇園崎、小垣の穴と呼ばれる天然橋、あがりたての洞穴、あかだすき卽ち赤色岩脈、眼鏡岩と云はれる二個の天然橋等がある。皇后島には宿禰洞、大牛の鼻、小牛の鼻があつて、大牛の鼻は天然橋及洞穴を、小牛の鼻は天然橋を有する。

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