三池炭鉱

三池炭鑛
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

福岡県大牟田市、三池郡および熊本県玉名郡の1市2郡にまたがり、東西約8km、南北約22kmにおよび東北は三池山を背負い、西南は有明海に面し、鉱区面積は採掘および試掘を合せ約330km²です。今から400年以上前、室町時代の文明年間(1469~1487年)の発見と伝えられ、明治6年(1873年)官有となり、同22年(1889年)1月三井家がこれを譲り受けて鋭意事業の拡張に努めました。現在は三井鉱山の経営で、日本でも第一の炭山です。目下宮浦、万田および四山の3坑からなり、年出炭額は約200万kg、坑内外を通じて従業員約7,000名を数えます。

現在三池炭の名称で採掘している石炭は通常三池八尺層で、その厚さは1.5~7.6mに達し、平均2.4mあまりです。層中ほかの岩石層が入っていません。三池炭は特異の淡赤土色を帯び、粘結性を有し、発熱力が強大でガス分に富み、かつ夾雑物が少ないため、汽缶用およびガスならびにコークス製造用に適し、特に鍛冶用炭としては全国無比です。

※底本:『日本案内記 九州篇(六版)』昭和13年(1938年)発行

令和に見に行くなら

名称
三池炭鉱
かな
みいけたんこう
種別
見所・観光
状態
現存しない
備考
平成9年(1997年)に閉山となっています。遺構は世界遺産となっています。

日本案内記原文

福岡縣大牟田市、三池郡及熊本縣玉名郡の一市二郡に跨り、東西約八粁、南北約二二粁に及び東北は三池山を負ひ、西南は有明海に面し、鑛區面積は採掘及試掘を合せ約三萬三千ヘクタールである。今を距る四百餘年前文明年閒の發見と傳へられ、明治六年官有となり、同二十二年一月三井家これを讓受けて銳意事業の擴張に努めた。現今は三井鑛山會社の經營で、本邦第一の炭山である。目下宮浦、萬田及四山の三坑より成り、年出炭額約二百萬瓩、坑內外を通じて從業員約七千名を算する、

現在三池炭の名稱を以て採掘せる石炭は通常三池八尺層にして、その厚さ一米半乃至七米六に達し、平均二米四餘(約八尺)である。層中他の岩石層を挾介しない。三池炭は特異の淡赭色を帶び、粘結性を有し、發熱力强大にして瓦斯分に富み、且夾雜物が少いから、汽罐用及瓦斯竝にコークス製造用に適し、殊に鍛冶用炭としては全國無比である。

大牟田のみどころ