殺生石

殺生石

昭和初期のガイド文

湯本から北に約200m進むと、那須岳の寄生火山である御段山の東側斜面、湯川の渓谷に面した場所に「殺生石」があります。この石は黒っぽい輝石安山岩の大きな塊で、木製の柵で囲まれています。殺生石の周囲、南北約12m、東西約8mの範囲は、噴気の影響で岩石が著しく分解され、灰白色に変化しています。また、表面が玉ねぎの皮のように剥がれ落ちている部分や、完全に土砂化してしまった部分もあります。この土砂には硫黄が混ざっているため黄色みを帯びています。現在、硫煙は上がっていませんが、硫化水素の独特な臭いが立ち込めています。この現象は硫質噴気孔の活動が衰えた状態であると考えられています。噴出するガスの性質や種類は明確ではありませんが、ここでは動物がガスに触れて命を落とすことがあるため、「殺生石」という名前が付けられました。ただし、石そのものが有毒ガスを発するわけではなく、周辺の噴気孔から発せられるガスが原因とされています。

※底本:『日本案内記 関東篇(初版)』昭和5年(1930年)発行

令和に見に行くなら

名称
殺生石
かな
せっしょうせき
種別
見所・観光
状態
状態違うが見学可
備考
2022年に突然割れました。
住所
栃木県那須郡那須町湯本182
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

湯本の北二〇〇米ばかり、那須岳の寄生火山御段山の東腹、湯川の溪谷に面する處にあり、石は黝色を呈する輝石安山岩の大塊で木柵を繞らして居る。殺生石の附近南北一二米東西八米の間は噴氣のために作用されて、岩石が著しく分解し、灰白色を呈し、且つ玉葱の皮のやうに剝脫し、或は全く分解して土砂となつたものもある。この土砂には硫黄を混じて黃色を帶びて居る。こゝには硫烟が昇騰して居ないが、硫化水素の臭氣が紛々として居るので、硫質噴氣孔の老衰したものと認められる。噴出の瓦斯の性質及種類は明かではないが、動物のその氣に觸れて死するものが少くない。それで殺生石の名が付けられて居る。しかし石そのものが毒瓦斯を發するのではなくて、その附近の噴氣孔から發する瓦斯が動物に有毒なのである。

那須のみどころ