成島毘沙門堂
北成島毘門堂
昭和初期のガイド文
花巻から12.7kmの土沢駅の西南約4km、和賀郡十二鏑村北成島にあり、土沢町から猿ヶ石川の渓流に沿って通じる県道によって北成島に着くと、猿ヶ石川の北岸に御山と呼ばれる小山があります。その山上に二間三面宝形造の毘舎門堂があり、中に巨大な木彫の毘舎門天像[国宝]が安置されています。高さ約6m、台座は床下に没し、光背は屋根裏に達しています。形相の雄大な稀に見るもので鎌倉時代のものです。このほかに吉祥天と二鬼の木像があります。いずれも国宝で特に吉祥天の像は高さ約2m、その面貌姿態は極めて優美で平安時代の作です。
※底本:『日本案内記 東北篇(初版)』昭和4年(1929年)発行
令和に見に行くなら
- 名称
- 成島毘沙門堂
- かな
- なるしまびしゃもんどう
- 種別
- 見所・観光
- 状態
- 現存し見学できる
- 住所
- 岩手県花巻市東和町北成島5-1
- 参照
- 参考サイト(外部リンク)
日本案内記原文
花卷から一二粁七(七哩九)の土澤驛の西南約四粁、和賀郡十二鏑村北成島にあり、土澤町から猿ケ石川の溪流に沿うて通ず縣道により北成島に着くと、猿ケ石川の北岸に御山と稱する小山がある。その山上に二閒三面寶形造の毘舍門堂があり、中に巨大な木彫の毘舍門天像[國寶]が安置されて居る。高さ約六米(二丈餘)、臺座は床下に沒し、光背は屋根裏に達して居る。形相の雄大なる稀に見る所で鐮倉時代のものである。この外に吉祥天と二鬼の木像がある。何れも國寶で特に吉祥天の像は高さ約二米(七尺)、その面貌姿態は極めて優美で平安時代の作である。