吉奈温泉
吉奈溫泉
昭和初期のガイド文
駿豆鉄道修善寺駅の西南10km、自動車の便があり、天城山の山麓、狩野川の支流吉奈川の沿岸に湧出し、聖武天皇の御代に僧行基がこの地に医王山善名寺を建立して薬師如来を安置しましたが、その尊像のそばから霊泉が湧出したのが起こりだと伝わっています。温泉は塩類泉でややぬるく、古来子宝の湯と呼ばれ、あたたまる湯とされて、子供を欲しがる婦人が多く訪れます。徳川家康の妾お万の方はここに入浴した後に頼宣を産んだといい、お万の方腰掛石、子持柿などが伝わっています。旅館は東府屋、さかや、ほか芳泉荘の貸別荘があります。
※底本:『日本案内記 関東篇(初版)』昭和5年(1930年)発行
令和に見に行くなら
- 名称
- 吉奈温泉
- かな
- よしなおんせん
- 種別
- 温泉
- 状態
- 現存し見学できる
- 住所
- 静岡県伊豆市吉奈
- 参照
- 参考サイト(外部リンク)
日本案内記原文
同修善寺驛の西南一〇粁、自動車の便あり、天城山の山麓、狩野川の一支流吉奈川の沿岸に湧出し、聖武天皇の御代に僧行基この地に醫王山善名寺を建立して藥師如來を安置したが、その尊像の傍から靈泉の湧出したのが起りだと傳へて居る。溫泉は鹽類泉でやゝ微溫く、古來子寶の湯と呼ばれ、あたゝまる湯と稱せられて、子供を欲しがる婦人の浴客が多い。德川家康の妾お萬の方はこゝに浴して後賴宣を產んだと云ひ、お萬の方腰掛石、子持柿などの傳へがある。旅館 東府屋、さかや、外に芳泉莊の貸別莊がある。