獅子窟寺
獅子窟寺[眞言宗大覺寺派]
※現代の景観です。
昭和初期のガイド文
片町線星田駅の西約4km、磐船村私市にあります。普見山の中腹で私市の岩屋といい、境内の山容は奇勝で展望がよく、西北に山城の連峰を望み、西南は遥かに大阪城を眺められます。寺は行基の開創と伝わり、後亀山天皇が堂宇を修造されました。本堂の背後に大磐窟があり、前に灯籠堂があります。本尊薬師如来像は一木造で、相好は円満で特に切目の長い慈眼を細く開き、法衣はいわゆる翻波式の彫法で流麗なひだを表現し、両肩を覆い膝にまとわりついて旋律の美を発揮しています。この表現は平安時代初期の伝統形式でありながら次の時代の流行も含むもので特に注目に値し国宝になっています。
※底本:『日本案内記 近畿篇 下(初版)』昭和8年(1933年)発行
令和に見に行くなら
- 名称
- 獅子窟寺
- かな
- ししくつじ
- 種別
- 見所・観光
- 状態
- 現存し見学できる
- 住所
- 大阪府交野市私市2387
- 参照
- 参考サイト(外部リンク)
日本案内記原文
同星田驛の西約四粁、磐船村私市にある。普見山の中腹で私市の岩屋と云ひ、境內の山容奇勝で展望よく、西北に山城の連峯を望み、西南は遙に大阪城を眺められる。寺は行基の開創と傳へ、後龜山天皇堂宇を修造し給うた。本堂背後に大磐窟があり、前に燈籠堂がある。本尊藥師如來像は一木造で、相好圓滿にして特に切目の長い慈眼を細く開き、法衣は所謂飜波式の彫法により流麗な襞を現はし、兩肩を覆ひ膝を繞つて旋律の美を發揮し居る。この表現は平安朝初期の傳統形式によりながら次の時代の好尙を孕むもので特に注目に値し國寶になつて居る。