竜田川の紅葉

龍田川の紅葉

昭和初期のガイド文

王寺駅の北約2.3キロメートル、法隆寺駅の西北約2.9キロメートルの地点に位置する龍田町の龍田を流れる龍田川。その両岸、約4キロメートルにわたる紅葉が有名です。龍田川の紅葉は古くから歌にも詠まれるほど知られていましたが、明治22年(1889年)頃にはわずか36本の古木が残るのみでした。その後、奈良県宇陀郡から約6,000本の苗木を取り寄せて植樹し、現在では約10,000本の紅葉が見られます。植えられているのはヤマモミジを主とし、その園芸品種に少数のイタヤカエデやその他の種類を混植しています。そのため、葉の大小や形状、色の濃淡が多様で、嵐山、高雄、寒霞渓などで見られる自然生のモミジとは異なる景観を楽しめます。かつては自生のヤマモミジが中心だったと考えられますが、現在の大木の幹周囲は根元で約3メートル、地上1.5メートルの高さでは約2メートル内外となっています。また、根元からいくつにも分かれる支幹を持つ木もあり、中にはさらに大きな周囲を持つものも見られますが、それらの多くは寄せ植えによるものです。

※底本:『日本案内記 近畿篇 下(初版)』昭和8年(1933年)発行

令和に見に行くなら

名称
竜田川の紅葉
かな
たつたがわのこうよう
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
奈良県生駒郡斑鳩町
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

王寺驛の北二粁三、法隆寺驛の西北二粁九、龍田町龍田を流れる龍田川の兩岸四粁餘に亘つて居る。龍田川の紅葉は往時から有名で、これに關する古歌が少くないが、明治二十二年頃には唯三十六株の古木があるに過ぎなかつた。當時奈良縣宇陀郡から六千株の苗木を取寄せて補植したので、今は一萬本に及び、やまもみぢ及その園藝變種に、少數のいたやかへでその他を混じ、葉の大小、形態、色彩の濃淡不同で、嵐山、高雄、寒霞溪等に於ける自生械樹の紅葉とは景觀を異にする。古い時代には自生せるやまもみぢが主なものであつたらう。大木は根元の周圍約三米、地上約一米半の幹圍二米內外で、根元から數多の支幹に分かれて居るものゝ中には、樹幹の全周圍更に大なるものがあるが概ね寄植である。