松尾寺

松尾寺

昭和初期のガイド文

[真言宗高野派] 法隆寺駅から北へ約5キロメートル、矢田村山田に位置しています。松尾山の頂上に近い斜面に建ち、養老2年(奈良時代、718年)に舎人親王の発願により、永業上人によって創建されたと伝えられています。本堂は南向きで崖の上に立つ舞台造りの建築で、五間四方の単層建物です。屋根は入母屋造で本瓦葺きとなっており、文禄9年(安土桃山時代、1590年)に再建されました。屋根の勾配が緩やかで軒が深く、細部の手法などは鎌倉時代中期の和様建築を代表するものであり、国宝に指定されています。大黒堂の本尊である木造大黒天立像は鎌倉時代の作品で、非常に精巧な技巧が施された優れた仏像として国宝に指定されています。このほか、寺宝として絹本著色の元画「釈迦八大菩薩像」や木造十一面観音立像があり、これらは奈良国立博物館に出展されています。

※底本:『日本案内記 近畿篇 下(初版)』昭和8年(1933年)発行

令和に見に行くなら

名称
松尾寺
かな
まつおでら
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
奈良県大和郡山市山田町683
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

[眞言宗高野派] 法隆寺驛の北五粁、矢田村山田にある。松尾山の頂上に近き斜面に營まれ、養老二年舍人親王の本願によつて、永業上人の開創であると云ひ、本堂は南面して懸崖にかゝりて舞臺造となり、五間五面、單層、屋根入母屋造、本瓦葺で、文祿九年の再建にかゝり、屋根の勾配緩かに軒の出深く、細部の手法等、鎌倉中期の和樣建築を代表するもので、國寶に指定されて居る。大黑堂の本尊木造大黑天立像は鎌倉時代の技巧頗る精妙な優品で國寶である。この他寺寶の絹本著色、元畫の釋迦八大菩薩像及び木造十一面觀音立像は、共に奈良帝室博物館に出陳中である。