猊鼻渓

猊鼻溪
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

陸中松川駅の北3.5km、長坂村にある指定の名勝です。砂鉄川が石灰岩の断層に沿い侵食して造った延長2kmあまりの峡谷です。水清らかで両岸の岩壁は削られたような景観で、春はフジにヤマブキ、秋は紅葉の美があり、夏は清風を楽しむことができます。駅から長坂まで自動車の便があります。船に乗リ渓水を遡れば渓口の右に鏡明岩が見えます。さらに進めば左に凌雲岩が削壁を造っています。右には石灰洞があります。その洞内に毘沙門天の像が祀られています。それでこの岩窟を毘沙門窟といいます。次に右に吐雲峰を望み、さらに上って左に天を摩する岩壁を仰ぐ、ここが峡中第一の眺めで、壮夫岩と呼ばれます。これに対して右に少婦岩が立つ、壮夫岩の続きに石灰岩の裂罅を流下する小飛泉、大飛泉の2滝があります。同じく左に高く馬鬣岩がそびえ、その下流水に接して曲屏岩が立ち、次には歩霄岩があります。これには登ることができ、その上からは渓谷の大半が一目に見えます。これから上流は船を曳いて上り、右に曲がって行けば右手に2枚屏風を立てたような高い岩面が仰がれます。そのなかほどに鍾乳石の(後半テキスト不明)

※底本:『日本案内記 東北篇(初版)』昭和4年(1929年)発行
猊鼻渓

令和に見に行くなら

名称
猊鼻渓
かな
げいびけい
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
岩手県一関市東山町
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

陸中松川驛の北三粁半、長坂村にある指定の名勝。砂鐵川が石灰岩の斷層に沿ひ侵食して造つた延長二粁餘の峽谷である、水淸らかに兩岸の岩壁削るが如く、春は藤山吹、秋は紅葉の美があり、夏は淸風を樂しむことが出來る。驛から長坂まで自動車の便がある、船に乘リ溪水を遡れば溪口の右に鏡明岩を見る。更に進めば左に凌雲岩が削壁を造る。右には石灰洞がある。その洞內に毘沙門天の像が祀られて居る。それでこの岩窟を毘沙門窟と云ふ。次に右に吐雲峰を望み、更に上つて左に天を摩する岩壁を仰ぐ、これが峽中第一の眺めで、壯夫岩と呼ばれる。これに對して右に少婦岩が立つ、壯夫岩の續きに石灰岩の裂罅を流下する小飛泉、大飛泉の二瀧がある。同じく左に高く馬鬣岩が聳え、その下流水に接して曲屏岩が立つ、次には步霄岩がある、これには登ることが出來、その上からは溪谷の大半が一目に見える、これから上流は船を曳いて上り、右に曲つて行けば右手に二枚屏風を立てたやうな高い岩面が仰がれる。その中ほどに鍾乳石の

平泉・一関のみどころ